システムエンジニアの採用単価が高騰し続ける理由と、今すぐできる対策
「去年よりも、また採用単価が上がっている」
システムエンジニアを採用しようと求人を出した経営者から、こんな声をよく聞きます。「去年も採用に苦戦したけれど、今年はもっとひどい。求人サイトの掲載費は上がっているのに、応募はほとんど来ない。たまに来ても、提示されている想定年収を見て驚くばかりだ」と。
実際、システムエンジニアの採用にかかる単価は、ここ数年で右肩上がりに上がり続けています。求人広告の掲載費、人材紹介会社に支払う成功報酬、提示しなければ振り向いてもらえない年収水準——どれをとっても、数年前の感覚では通用しなくなっています。ようやく一人採れたと思っても、そこにかかった総額を計算すると、数百万円規模になっていることも珍しくありません。
そして厄介なのは、この高騰が「一時的なもの」ではなく、構造的に続いていることです。景気が良くなったから一時的に上がっている、という話ではありません。需要と供給のバランスそのものが崩れているために、待っていても下がる見込みは薄いのです。だからこそ、「単価が下がるのを待つ」のではなく、「高騰を前提にどう動くか」を考える必要があります。
採れないのも、高いのも、あなたの会社のせいではない
「うちの提示額が低いから採れないのだろうか」「もっと条件を良くすれば来てくれるのだろうか」——採用がうまくいかないと、つい自社の出し方を疑ってしまいます。けれど、システムエンジニアが採れず、しかも単価が高騰しているのは、個々の会社の努力不足が原因ではありません。市場全体の構造がそうさせているのです。
そもそも、IT人材は社会全体で大きく不足しています。あらゆる業界でDXが叫ばれ、システム開発やIT活用の需要は爆発的に増えました。一方で、それを担えるシステムエンジニアの数は、需要の伸びに追いついていません。需要に対して供給が足りなければ、価格——つまり採用単価が上がるのは、市場の理屈として当然のことです。
さらに、限られたシステムエンジニアを、知名度の高い大手企業や給与水準の高いIT企業が高待遇で奪い合っています。地方の、IT専業ではない中小企業が、同じ土俵で人材を取り合っても、条件面で勝つのは簡単ではありません。だから応募が集まらず、人材紹介会社に頼り、成功報酬というコストがさらに上乗せされていきます。採れないのも高いのも、あなたの会社が悪いのではなく、こうした市場の構造が生んでいる現象なのです。
この記事で、「高騰に振り回されない対策」が分かります
では、採用単価が高騰し続けるこの状況で、中小企業はどう動けばいいのでしょうか。単価が下がるのを祈りながら、毎年同じように求人を出し続けるのでしょうか。
この記事では、まずシステムエンジニアの採用単価がなぜ高騰し続けるのか、その理由を整理して理解したうえで、高騰に振り回されずに自社のIT課題を前に進めるための、今すぐできる対策を具体的に解説します。結論を先に言えば、鍵は「一人のシステムエンジニアを高給で正社員として抱え込む」という前提そのものを、いったん見直すことにあります。
読み終わるころには、採用単価の高騰を「どうにもならない悩み」としてではなく、「だったらこう動けばいい」という具体的な打ち手とセットで捉えられるようになっているはずです。
採用単価の高騰を構造から理解する
採用単価の高騰に振り回されないための3つの対策
採用単価が高騰し続ける構造そのものは、一企業の力では変えられません。けれど、その構造に振り回されずに自社のIT課題を前に進める方法は、ちゃんとあります。ここでは、今すぐ着手できる3つの対策を紹介します。
① 「採用ありき」をやめ、解決したい課題から逆算する
最初の対策は、「システムエンジニアを採る」ことを出発点にするのをやめ、「何を解決したいのか」から逆算して考えることです。
採用単価の高騰に悩む経営者の多くは、いつの間にか「優秀なエンジニアを一人採ること」自体が目的になっています。けれど本当に欲しいのは、エンジニアという人材そのものではなく、「社内の手作業をなくしたい」「Excelと紙の業務を効率化したい」「お客様対応をシステムで楽にしたい」といった成果のはずです。
そこに立ち返ると、選択肢は「一人を高給で雇う」だけではないことが見えてきます。解決したい課題が明確になれば、その課題に必要な分だけ、必要なときに外部のIT機能を借りるという形でも十分に前に進みます。採用単価という固定の重荷を背負わずに、欲しかった成果に近づけるのです。まずは「誰を採るか」ではなく「何を解決したいか」を一枚の紙に書き出すことから始めてみてください。
② 「一人で抱える」のをやめ、チームの力を必要な分だけ借りる
二つ目の対策は、IT業務を社内の一人にすべて背負わせるのをやめ、外部のチームの力を必要な分だけ借りることです。
採用単価が高騰しているのは、裏を返せば「一人のエンジニアにすべてを任せようとしている」からでもあります。けれど、ひとくちにシステムエンジニアと言っても、業務システムに強い人、インフラに強い人、ツール選定や社内調整が得意な人と、専門は分かれています。中小企業のIT課題は幅広いのに、それを一人でカバーさせようとするから、高い人材を探すしかなくなり、単価が跳ね上がるのです。
複数の専門領域を持つ外部チームに、必要な部分だけを切り出して頼れば、高給の正社員を一人抱え込まなくても、幅広いIT課題に対応できます。インフラの相談はインフラに強い人へ、業務改善はその領域が得意な人へ。採用単価という形で一括前払いするのではなく、必要な機能を必要な分だけ使う発想に切り替えることで、コストの読みやすさも、対応できる幅も、ともに改善します。
③ コストを「採用費」から「月額の予算」に変える
三つ目の対策は、IT人材にかける費用を、一度きりの大きな採用費としてではなく、毎月一定額の予算として捉え直すことです。
採用には、求人広告費や人材紹介の成功報酬といった、成果が出る前のまとまった出費がつきものです。しかも、せっかく採用しても早期に辞めてしまえば、そのコストはまるごと無駄になります。採用単価の高騰がこわいのは、「高い金額を先に払ったのに、成果が保証されない」というリスクが大きいからでもあります。
これを、毎月一定額で外部の力を借りる形に変えると、コストの予測がつきやすくなり、定着リスクからも解放されます。月々の予算の範囲で、必要なIT支援を継続的に受けられるので、「採用に数百万円を賭けて勝負する」というギャンブル的な負担がなくなります。固定費として無理なく予算化できれば、IT投資の判断もぐっとしやすくなるはずです。
一人に頼らずチームの力を必要な分だけ借りる
こんな経営者は、採用以外の対策を検討すべきです
以下のいずれかに当てはまる経営者は、もう一度同じ条件で求人を出す前に、いちど立ち止まって別の対策を検討することをおすすめします。
- システムエンジニアの求人を出しても、応募がほとんど来ない
- 採用単価が年々上がり、提示すべき年収水準が自社の体力に見合わなくなってきた
- 求人広告費や人材紹介の成功報酬に、すでにまとまった費用をかけてしまった
- IT人材を一人だけ正社員で抱える余裕や、評価・育成できる体制が社内にない
- まとまった採用コストより、毎月一定額で予算化できる形のほうが助かる
採用単価の高騰は、待っていても解決しません。むしろ、市場の構造から考えれば、この先も続く可能性が高いものです。だからこそ、「単価が下がるのを待つ」のではなく、「高騰を前提に、採用以外の選択肢で課題を解決する」発想へ、早めに切り替えることが大切です。
そうした「高い採用単価をかけずにIT課題を前に進めたい」というニーズに応えるのが、当社の月額制自社DX推進部です。高給のシステムエンジニアを一人採用する代わりに、自社のDX推進部門を月額制で持つようなイメージで、業務の困りごとの整理からツール導入、運用まで、複数の専門家がチームで伴走します。採用単価の高騰や定着リスクを負わずに、欲しかった成果に向けて動き出せます。
まとめ
採用単価の高騰に振り回されず前に進む
システムエンジニアの採用単価が高騰し続けるのは、あなたの会社の出し方が悪いからではありません。IT人材の需要が供給を大きく上回り、限られた人材を大手や高待遇のIT企業が奪い合っているという、市場の構造が生んでいる現象です。この構造は、待っていても変わりません。
だからこそ、高騰に振り回されないための対策は、次の3つでした。
- 「採用ありき」をやめ、解決したい課題から逆算する(欲しいのは人ではなく成果)
- 「一人で抱える」のをやめ、チームの力を必要な分だけ借りる(幅広い課題に無理なく対応する)
- コストを「採用費」から「月額の予算」に変える(ギャンブル的な負担と定着リスクをなくす)
採用単価の高騰は、見方を変えれば「一人を高給で抱え込む前提を手放すきっかけ」でもあります。まずは、自社が本当に解決したいIT課題をひとつ言葉にすることから始めてみてください。その課題を、採用以外の選択肢も含めて相談できる相手を見つければ、IT活用は「採用単価が高いから止まる」ものではなくなります。