オフィス移転時のIT準備チェックリスト|ネットワーク・電話・複合機の手配順序

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オフィス移転時のIT準備チェックリスト|ネットワーク・電話・複合機の手配順序オフィス移転時のIT準備チェックリスト|ネットワーク・電話・複合機の手配順序

「オフィス移転、ITは任せた」と言われた瞬間の不安

経営層から「半年後にオフィスを移転することになった」と告げられる瞬間は、IT担当者にとってひとつの試練の始まりです。場所も決まり、契約も進んでいる。レイアウト案も配られている——けれども、ITの話になると、誰も具体的なことを言えない。「ネットワークと電話、それから複合機、いい感じに頼むよ」と任され、気づけば移転までのカレンダーを睨んで途方に暮れる、というのが、よくある光景です。

オフィス移転には、IT観点で本当に多くの準備が絡みます。インターネット回線の引き込み工事、社内LANの配線、無線アクセスポイントの設置、固定電話番号の継続利用、PBX(電話交換機)の更新、複合機のリース契約、サーバーやNASの移設、UPSやネットワーク機器の入れ替え、セキュリティ機器の引っ越し、そして全社員のPC・周辺機器の移送と再設定——どれも、どれかひとつでも遅れると、移転初日の業務開始に影響が出ます。

しかも、これらの作業は「発注してすぐ動く」ものではありません。インターネット回線の引き込みには、申し込みから工事完了まで2〜4ヶ月かかることが珍しくない。電話番号の継続利用には、収容局の確認や事業者間の調整で1〜2ヶ月。複合機リースは契約手続きと納品で1〜2ヶ月。すべてを並行で動かさないと、半年は足りないどころか、ぎりぎり間に合わないことすらあるのです。

「全部初めてのことばかり」——情シスにとってのオフィス移転

オフィス移転は、IT担当者の通常業務とはまったく異なるプロジェクトです。普段はサーバー保守やヘルプデスク、ベンダー対応をこなしていても、回線工事の発注やリース契約の交渉までやった経験のある人は、それほど多くありません。

しかも、社内には「移転プロジェクト全体」を見る人(総務や経営企画)と、「ITの各論」を見る人(情シス)と、「実際に使う人」(現場社員)がいて、それぞれの視点で要望が出ます。「会議室のWebカメラ会議を強化したい」「フリーアドレスにしたい」「テレワーク前提の構成にしたい」——どれも理にかなった話ですが、すべてを実現するには、それなりの予算と時間が必要です。

そして、業者選びも一筋縄ではいきません。回線、電話、複合機、LAN工事、サーバー保守、PC、それぞれに別の業者が絡みます。1社にまとめれば楽な反面、競争原理が働かず割高になりがち。バラバラに発注すれば安く済む反面、調整工数が膨大になり、当日のトラブル対応で誰が責任を持つかが曖昧になる——どちらにも一長一短があります。

「何を、誰に、いつ発注し、どの順序で進めるか」を、最初に俯瞰で押さえておくことが、オフィス移転プロジェクトを成功に導く最大の鍵です。

この記事で、移転6ヶ月前〜当日のIT準備が時系列で見える

本記事では、オフィス移転におけるIT準備を、ネットワーク・電話・複合機の3本柱を中心に、6ヶ月前から当日までの時系列でチェックリスト化しました。各項目について「いつ動き始めるべきか」「誰に発注するか」「何でつまずきやすいか」を明確にし、社内稟議や業者選定にそのまま使えるレベルで整理しています。

オフィス移転ITチェックリスト全体像オフィス移転ITチェックリスト全体像

中小企業のIT担当者が、本業と並行しながら移転プロジェクトを進めるための実務的なガイドです。読み終えるころには、明日から何を始めるべきか、優先順位がはっきり見えている状態を目指します。

移転までの時系列チェックリスト

ここからは、移転当日を「Day 0」とし、6ヶ月前から順に、IT観点で動くべき項目を整理します。

Day -180〜-150:移転の全体像とIT要件を固める

移転の決定から最初の1ヶ月は、IT観点での要件整理に充てます。具体的には次のような項目です。

新オフィスの座席数、会議室数、フリーアドレスの有無、Web会議室の数、サーバールームの有無、収納の制約。社員数の3年計画、テレワーク併用率の見込み。インターネット回線の冗長化方針、想定利用帯域、社外アクセス方式(VPN、ゼロトラスト)。電話運用の方針(固定電話を残すか、クラウドPBXへ移行するか、IP電話のみか)。複合機の台数、機能要件、印刷量の見込み。

これらを「移転後3〜5年の業務スタイル」前提で議論しておかないと、後から手戻りが発生します。特に、テレワーク併用やフリーアドレス化を進める場合、座席に紐づかないネットワーク・電話設計が必要になります。

Day -150〜-120:インターネット回線と固定電話の手配

要件が固まったら、最初に動かすべきは「納期の長いもの」です。インターネット回線(光回線)の引き込み工事は、ビル内の配線状況や事業者の繁忙期によって、申し込みから工事完了まで2〜4ヶ月かかることがあります。早めの発注が必須です。

ポイントは、複数事業者の見積もりを取ること、引き込み可能な配線方式を確認すること、停電時の備えとしてバッテリーバックアップ付きのONUを検討すること、そして本回線とバックアップ回線(モバイル回線や別事業者の回線)を冗長化することです。

固定電話番号を引き継ぐ場合は、現電話会社と新オフィスの収容局を確認します。同じ収容局内であれば番号継続が可能、別の収容局であれば原則として新番号になりますが、最近はクラウドPBXへの切り替えで番号ポータビリティを実現できるケースも増えています。

Day -120〜-90:複合機・サーバー・ネットワーク機器の選定

次に進めるのは、複合機、サーバー、ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、無線アクセスポイント)、UPSなどの選定と発注です。

複合機は、リース契約の切り替えタイミングが重要です。現契約の残期間、違約金、新契約の納期、保守体制を踏まえ、移転2〜3ヶ月前には新オフィスへの納品スケジュールを確定させます。台数は「印刷量×部署別配置」で決まるため、現状の使用実績を把握しておくことが選定の精度を高めます。

ネットワーク機器は、新オフィスのレイアウトとWeb会議の同時利用想定から逆算します。フリーアドレスや大会議室を想定する場合、無線アクセスポイントの密度と帯域設計が業務効率を大きく左右します。

サーバーやNASは、現オフィスから移送するのか、この機会にクラウドに移すのか、いずれかを決めます。移送する場合は、移転当日のダウンタイム計画と、データバックアップが必須です。

Day -90〜-60:LAN工事・電源工事・電話配線の発注

新オフィスの内装工事と並行して、LAN配線、電源コンセント増設、電話配線の工事を発注します。ここでつまずきやすいのは「内装業者と電気工事業者とIT業者の調整」です。

LAN配線は、座席数の1.5〜2倍の口数を確保することが鉄則です。将来の増員、機器追加、レイアウト変更に備えるためです。会議室には有線LANのほか、HDMI、電源、Web会議用カメラ・マイクの配置を考えます。

電源工事は、ITサーバールームのUPS分岐回路、複合機の専用回路、無線アクセスポイントへのPoE給電の有無を整理します。「電源が足りなかった」は、移転後の手戻り工事で最も多い項目のひとつです。

Day -60〜-30:PC・周辺機器の移送計画とPBX切替計画

PC、ディスプレイ、周辺機器の移送計画を立てます。当日に移送するのか、引っ越し業者に任せるのか、IT担当者が立ち会うのか。社員数が30人を超えると、これだけで丸1日の作業になります。

電話交換機(PBX)の切り替えは、移転前日の夜から当日朝にかけて、最もリスクの高い作業のひとつです。クラウドPBXに移行している場合は比較的スムーズですが、オンプレ PBXの移設では、切替時刻の決定、通話試験、緊急時のロールバック計画まで詰めておく必要があります。

Day -30〜-7:テストと段取り

移転1ヶ月前からは、現地でのテストフェーズに入ります。LAN配線の結線確認、インターネット回線の疎通確認、無線APの設置と電波測定、複合機の試運転、会議室のWeb会議機器の動作確認——これらを移転1週間前までに済ませておきます。

社員向けの「移転当日の動き方」マニュアルを配布し、Q&Aを開きます。「PCはいつ運ばれるか」「メールはいつから使えるか」「電話はどう転送されるか」「Wi-Fiパスワードは」——よくある質問への回答を、事前に共有しておきます。

Day 0:移転当日

当日は、IT担当者が新オフィスに常駐し、トラブル対応に専念します。よくあるトラブルは、LANポートの不通、PC設定の不備、複合機のネットワーク接続不良、電話の不通、Wi-Fi接続不良。事前のテストでつぶしておけば、当日の対応はかなり軽くなります。

ベンダー各社の連絡先と緊急対応の窓口を一覧にしておき、何かあったらすぐ呼べる体制を整えておくことも大切です。

移転スケジュール3フェーズ移転スケジュール3フェーズ

Day +1〜+30:安定運用への移行

移転後の1ヶ月は、現場で発生する細かいトラブルへの対応期間です。「この席だけネットが遅い」「ここの電話が鳴らない」「会議室のWeb会議で音が拾えない」——細かい修正を積み重ねます。

旧オフィスの解約手続き(回線解約、電話解約、複合機リース返却、原状回復)も、この時期に並行して進めます。解約のし忘れで月数万円の費用が無駄に流れることがあるため、注意が必要です。

中小企業の情シスが、移転プロジェクトを乗り切るために

ここまで読んでいただいた方は、ITだけで考えるべき項目が驚くほど多いことを実感されたはずです。情シス担当者が本業を抱えながら、これらをすべて完璧に進めるのは現実的ではありません。

実務上のおすすめは、次の3点です。

ひとつめは、移転プロジェクトのIT責任者を明確にすること。総務や経営企画ではなく、IT担当者の中で「移転の窓口」を1人決めます。その人が、ベンダー対応、社内調整、進捗報告のハブになります。

ふたつめは、ベンダー選定を「総合パートナー+専門ベンダー」の組み合わせにすること。回線・電話・複合機をまとめて任せられる総合パートナーを1社確保し、特殊な要件(クラウド設計、セキュリティ、Web会議システム)は専門ベンダーに任せます。

みっつめは、移転前後の3ヶ月は、本業の通常業務の30〜50%を移転プロジェクトに振り分けられるよう、社内で合意しておくこと。これを最初に経営層と合意しておかないと、現場が疲弊し、トラブル対応の精度が落ちます。

なお、「自社にIT専任担当を置きづらい」「移転を機にDXも一気に進めたい」という場合は、IT・DXの伴走パートナーを外部に持つ選択肢があります。たとえば月額制自社DX推進部のように、IT全般を月額で任せられるサービスを使えば、移転プロジェクトのまとめ役から、移転後の安定運用、さらに次のDX施策まで、一気通貫で進められます。

こんな企業は、いま準備を始めるべき

  • 半年〜1年以内のオフィス移転が決まっている、または決まりそうな状況にある
  • 移転を機に、テレワーク併用やフリーアドレスへの本格対応を考えている
  • 古い電話交換機や複合機があり、移転を機に見直したいと感じている
  • 情シス担当が兼務で、移転プロジェクトをすべて抱えるのは現実的でないと感じている
  • 過去の移転で、初日の業務開始に支障が出た経験がある

移転は、企業のIT基盤を「次の5〜10年に耐えうるもの」にリセットできる、数少ない機会です。準備が早いほど選択肢は広がり、コストも抑えられます。逆に、ぎりぎりの発注になるほど、選択肢は狭まり、割高になり、トラブルが増えます。

まとめ

オフィス移転IT準備のまとめオフィス移転IT準備のまとめ

オフィス移転のIT準備は、6ヶ月前から逆算して動かないと間に合いません。インターネット回線・固定電話・複合機といった納期の長い項目から先に発注し、LAN工事・電源工事・PBX切替・PC移送と続けていく——この時系列を最初に押さえることが、プロジェクト成功の鍵です。

そして、移転は「業務を止めずに引っ越す」ことが大前提。テストと段取りを十分に積み重ね、当日のトラブル対応の体制を整えておけば、移転初日も社員は普段通りに仕事を始められます。

自社の移転プロジェクトを、無理なく、しかし確実に成功させたい方は、IT全般を任せられる伴走パートナーの活用も検討してみてください。次の5〜10年の働き方を支えるITインフラを、いまの移転で一段引き上げる——その機会を最大限に活かしましょう。

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