情シスのいない会社で総務が200台のパソコンキッティングで潰れる?!
「200台のパソコン、来週までにセットアップしておいて」
ある日、経営者から総務担当者に告げられた一言。
「今度の拠点拡大に伴って、新しいパソコンを200台導入することになった。キッティングよろしく」
総務担当者の頭が真っ白になります。
キッティングとは、パソコンの初期設定のこと。OSのセットアップ、必要なソフトウェアのインストール、ネットワーク設定、セキュリティ設定、ユーザーアカウントの作成......。1台あたり最低でも2〜3時間はかかる作業です。
200台となると、単純計算で400〜600時間。1人で対応すれば、通常業務を完全にストップしても約2〜3ヶ月かかる計算です。
「情シス部門があればいいのに」
そう思っても、中小企業には専任の情報システム担当者がいないことがほとんど。結果として、「パソコンに詳しそう」という理由だけで、総務担当者にIT関連の仕事が降ってくるのです。
これは「よくある話」ではない。経営リスクである
「うちもそうだよ、どこも同じ」と思った経営者の方。
少し立ち止まって考えてください。この状況を放置することは、見えにくいが確実に存在する経営リスクを抱え続けることを意味します。
1. 総務の本来業務が完全にストップする
総務担当者がキッティングにかかりきりになれば、給与計算、経理処理、採用業務、備品管理......すべての業務が滞ります。それは他の部署にも波及し、会社全体の生産性低下を招きます。
2. 残業代・人件費が膨れ上がる
「業務時間外にやってもらえばいい」という発想は危険です。200台×3時間=600時間の残業代。時給2,000円として計算しても、120万円以上の追加コストが発生します。
3. ミスによるセキュリティ事故のリスク
疲弊した状態での作業は、必ずミスを生みます。セキュリティソフトの設定漏れ、ネットワーク設定の誤り、管理者パスワードの使い回し......。これらは情報漏洩や不正アクセスの原因になります。一度セキュリティ事故が起きれば、損害賠償や信用失墜で数千万円の損失も珍しくありません。
総務担当者の悲鳴が聞こえていますか
この記事を読んでいる経営者の方に、ぜひ知っていただきたいことがあります。
パソコンのキッティングを任された総務担当者は、どんな状況に置かれているか。
「昼休みも取れない日が続いています」
「本来の仕事が全く進まない。でも、キッティングも終わらない」
「マニュアル通りにやっているはずなのに、エラーが出る。誰に聞けばいいかもわからない」
「正直、もう辞めたい」
これは、実際に私たちが聞いた声です。
「パソコンに詳しい人」と「IT担当者」は違う
よくある誤解があります。
「あの人はパソコンに詳しいから、IT関連の仕事は任せておけば大丈夫」
これは危険な誤解です。
「パソコンに詳しい」とは、個人的にパソコンを使いこなせることであって、企業のIT環境を管理できることではありません。
企業のキッティングには、以下のような専門知識が必要です。
- Active DirectoryやAzure ADの理解
- グループポリシーの設計と適用
- 資産管理・ライセンス管理の知識
- セキュリティベースラインの理解
- トラブルシューティング能力
これらは、専門的なトレーニングや実務経験なしには身につきません。「パソコンに詳しい」だけの担当者に任せることは、素人にビルの電気工事を任せるようなものです。
キッティング問題を解決する3つのアプローチ
解決策
では、この問題をどう解決すればいいのでしょうか。
経営者として検討すべき3つのアプローチをご紹介します。
アプローチ1:自動化ツールを導入する
大量のパソコンをセットアップする場合、手作業では限界があります。そこで活用したいのが、キッティング自動化ツールです。
代表的な自動化手法
| 手法 | 概要 | 適正台数 |
|---|---|---|
| マスターイメージ展開 | 設定済みPCのイメージをコピー | 50台以上 |
| Autopilot(Windows) | クラウドから自動セットアップ | 規模問わず |
| MDM(モバイルデバイス管理) | 一元管理・自動設定 | 規模問わず |
| 構成管理ツール | スクリプトによる自動化 | 100台以上 |
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メリット
- 作業時間を大幅に短縮できる
- 設定のばらつきがなくなる
- 担当者の負担が軽減される
デメリット
- 初期構築に専門知識が必要
- ツール導入・設定にコストがかかる
- 運用できる人材が必要
アプローチ2:IT人材を採用・育成する
「根本解決」を目指すなら、専任のIT担当者を置くことです。
メリット
- 社内にノウハウが蓄積される
- 継続的なIT支援が受けられる
- セキュリティ対策も一元管理できる
デメリット
- 採用コストが高い(エンジニアの採用難)
- 人件費が固定費として発生する
- 1人採用しても「属人化」のリスク
- 退職リスクがある
特に問題なのは、「1人情シス」になりがちなこと。せっかく採用しても、その人が退職したら振り出しに戻ります。しかも、中小企業がIT人材を採用するのは年々難しくなっています。
アプローチ3:外部の専門家に任せる
最も確実でリスクの低いアプローチが、キッティング業務を外部に委託することです。
メリット
- 専門家による確実な作業
- 必要なときだけコストが発生
- 社内リソースを本来業務に集中できる
- セキュリティリスクを軽減できる
デメリット
- 都度依頼の手間がかかる
- 社内にノウハウが残りにくい
ただし、単発の外注では「その場しのぎ」になりがちです。キッティングだけでなく、日常的なIT課題(ヘルプデスク、アカウント管理、セキュリティ対策など)も継続的にサポートしてもらえる体制を構築することが理想です。
経営者が知るべきキッティングのコスト計算
提案
ここで、経営者視点でコストを冷静に計算してみましょう。
社内で対応した場合のコスト
200台のパソコンを総務担当者がキッティングする場合:
| 項目 | 計算 | コスト |
|---|---|---|
| 作業時間 | 200台 × 3時間 | 600時間 |
| 残業代(時給2,000円) | 600時間 × 2,000円 | 120万円 |
| 本来業務の遅延損失 | 概算 | 50〜100万円 |
| 設定ミスによる手戻り | 概算 | 20〜50万円 |
| 合計 | 190〜270万円 |
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これに加えて、担当者の疲弊による離職リスク、セキュリティ事故リスクは金額に換算できない「隠れコスト」です。
外部委託した場合のコスト
専門業者にキッティングを依頼する場合:
| 項目 | 相場 |
|---|---|
| キッティング費用(1台あたり) | 3,000〜8,000円 |
| 200台の場合 | 60〜160万円 |
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単純比較すると、外部委託の方が安くなるケースが多いのです。
しかも、外部委託なら:
- 総務担当者は本来業務に集中できる
- 専門家による確実な設定
- セキュリティリスクの軽減
- 納期の確実性
本当のコスト削減とは
経営者として重要なのは、「見えるコスト」だけでなく「見えないコスト」も含めて判断することです。
「社内でやれば無料」は幻想です。人件費、残業代、機会損失、リスク......すべてを含めると、「社内で対応した方が高くつく」ことは珍しくありません。
一方で、単発の外注を繰り返すのも効率が悪い。依頼のたびに要件説明が必要で、自社のIT環境を理解してもらうまでに時間がかかります。
理想的なのは、自社のIT環境を熟知したパートナーと、継続的な関係を構築することです。キッティングだけでなく、日常的なIT管理、ヘルプデスク、セキュリティ対策まで一括で任せられれば、都度の調整コストも削減できます。
こうした継続的なIT支援のニーズに応えるため、アイカでは月額制で自社にDX推進部を構築するサービスを提供しています。キッティングはもちろん、IT環境全般の整備・運用を伴走支援いたします。
こんな状況にある経営者様へ
以下のような状況に心当たりがあれば、ぜひ対策をご検討ください。
- 情シス部門がなく、総務や経理がIT業務を兼務している
- 近々、大量のパソコン導入・入れ替えを予定している
- 「パソコンに詳しい人」に頼りっきりで、属人化が心配
- 過去にキッティングミスでトラブルが起きたことがある
- IT関連の相談先がなく、困ったときに頼れる人がいない
放置すればするほど、リスクは大きくなる
「今回は何とか乗り切れた」
そう思っても、次がまたやってきます。パソコンの入れ替え、新入社員の入社、拠点の増設......。IT機器の管理は、一度きりではなく継続的に発生する業務です。
そのたびに総務担当者に負荷をかけ続ければ、いずれ限界が来ます。優秀な担当者ほど、「この会社では報われない」と感じて転職していきます。
また、セキュリティリスクは時間とともに蓄積されます。今日は事故が起きなくても、設定ミスの積み重ねが、ある日突然「大規模情報漏洩」という形で顕在化することがあります。
経営者として、今のうちに対策を打つべきです。
まとめ:総務を守ることは、会社を守ること
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
情シス不在のキッティングは経営リスク
- 総務担当者の本来業務がストップ
- 残業代・人件費の増大
- セキュリティ事故のリスク
「パソコンに詳しい人」への依存は危険
- 個人スキルと企業IT管理は別物
- 属人化が進み、退職リスクに
- 専門知識なしでは事故が起きやすい
解決策は3つ
- 自動化ツールの導入(要専門知識)
- IT人材の採用・育成(コスト高・採用難)
- 外部委託・パートナーシップ(確実・低リスク)
コスト計算を正しく行う
- 「社内=無料」は幻想
- 隠れコスト・リスクを含めて判断
- 継続的パートナーシップが最も効率的
総務担当者は、会社の縁の下の力持ちです。その総務担当者を、専門外のIT業務で潰してはいけません。
総務を守ることは、会社を守ること。
キッティングをはじめとするIT業務は、専門家に任せ、社員には本来業務で力を発揮してもらう。それが、経営者として正しい判断ではないでしょうか。
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