年収800万円の社内SEを採用するためにかかる「見えないコスト」400万円の正体
「IT人材が採用できない」深刻化する人手不足の現実
「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用できても1年で辞めてしまった」
こんな悩みを抱えている経営者や人事担当者は、決して少なくありません。
経済産業省の調査によると、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると予測されています。特に中小企業にとって、優秀な社内SEの採用は年々困難になっています。
しかし、問題はそれだけではありません。
仮に年収800万円で社内SEを採用できたとしても、実際にかかるコストは年収だけではないのです。採用活動費、教育研修費、福利厚生費、そして見落としがちな「離職リスク」まで含めると、見えないコストは400万円以上に膨らむことも珍しくありません。
この記事では、社内SE採用にかかる「見えないコスト」の正体を明らかにし、本当に自社にとって最適な選択は何かを考えていきます。
IT人材採用の苦労、よくわかります
「DXを推進したい」「社内システムを刷新したい」「ITで業務効率を上げたい」
こうした想いを持ちながらも、肝心のIT人材が見つからない。見つかっても予算が合わない。やっと採用できても、すぐに転職されてしまう。
この悪循環に疲弊している企業は本当に多いのです。
特に地方企業や中小企業では、大手IT企業やメガベンチャーとの人材獲得競争に勝つことは至難の業です。待遇面で太刀打ちできないだけでなく、「キャリアアップの機会が少ない」「最新技術に触れられない」といった理由で敬遠されることも少なくありません。
「とにかく誰かITがわかる人を採用しなければ」という焦りから、ミスマッチな採用をしてしまい、結果的に高いコストを払うことになるケースもあります。
この苦しみは、多くの企業が経験していることです。
見えないコストを可視化すれば、最適な選択が見えてくる
実は、社内SE採用にかかる「見えないコスト」を正確に把握している企業は多くありません。
このコストを可視化することで、「本当に正社員採用がベストなのか」「他にもっと効率的な方法はないのか」という視点が生まれます。
ここからは、年収800万円の社内SEを採用する場合にかかる見えないコストを、項目ごとに詳しく解説していきます。
採用コストの内訳
社内SE採用にかかる「見えないコスト」の内訳
1. 採用活動費:100〜200万円
まず、採用活動そのものにかかるコストです。
求人広告費
- 大手求人サイトへの掲載:30〜100万円/月
- IT特化型エージェント経由:年収の30〜35%(約240〜280万円)
採用担当者の人件費
- 書類選考、面接調整、面接対応などに費やす工数
- 月に20時間×3ヶ月として、約50万円相当
面接にかかる現場エンジニアの工数
- 技術面接、カジュアル面談などで現場を巻き込む時間
- のべ30時間として、約30万円相当
さらに、一度で採用が成功するとは限りません。採用できるまでに半年以上かかるケースも多く、その間のコストは膨らみ続けます。
2. 教育・オンボーディング費:50〜100万円
採用できたとしても、すぐに戦力になるわけではありません。
業界・業務知識の習得期間
- 自社のビジネスモデル、業務フローの理解に3〜6ヶ月
- その間、既存社員がサポートに回る工数:約50万円相当
社内システムの理解
- 既存システムの仕様把握、ドキュメント整備
- 前任者からの引き継ぎ(いれば)に要する時間
外部研修・資格取得支援
- 必要に応じた研修費用:10〜30万円
社内SEは「自社の業務を深く理解した上でITを活用する」ことが求められるため、汎用的なITスキルだけでは不十分です。この習熟期間のコストは見落としがちです。
3. 福利厚生・間接人件費:120〜150万円
年収800万円の社員を雇用する場合、それ以外にも以下のコストが発生します。
法定福利費(社会保険料の会社負担分)
- 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険
- 年収の約15%:約120万円
法定外福利費
- 通勤手当、住宅手当、家族手当など
- 企業によって異なるが、年間20〜50万円
間接費用
- PCやソフトウェアライセンス、デスク・椅子などの設備
- 初期費用として30〜50万円、月額費用として月2〜3万円
これらを合計すると、年収800万円の社員には実質的に950〜1,000万円以上のコストがかかっていることになります。
4. 最大のリスク:離職コスト(100〜200万円以上)
そして、最も見落としがちで最も大きなリスクが「離職」です。
IT人材の平均勤続年数は約4年と言われていますが、転職市場が活況な今、2〜3年で転職するケースも珍しくありません。
離職時に発生するコスト
- 採用活動のやり直し:100〜200万円
- 引き継ぎ期間の生産性低下
- 残された社員への負荷増大
- プロジェクトの遅延リスク
知識・ノウハウの流出
- 属人化していた業務の停滞
- ドキュメント化されていない暗黙知の喪失
もし3年で離職した場合、採用・教育にかけたコストを回収できないまま、また一からやり直しになります。この「振り出しに戻る」リスクこそが、見えないコストの中で最も深刻なものです。
コスト削減のポイント
採用以外の選択肢を検討すべき3つのケース
見えないコストを把握した上で、改めて考えてみてください。本当に正社員採用がベストな選択でしょうか?
以下のようなケースでは、別の選択肢を検討する価値があります。
ケース1:やりたいことが明確だが、人がいない
「〇〇システムを導入したい」「業務フローをデジタル化したい」など、やりたいことは明確なのに、実行する人材がいない場合。
このケースでは、外部の専門家やパートナー企業と協業するという選択肢が有効です。プロジェクト単位で必要なスキルを持つ人材を確保でき、採用リスクを負わずに目的を達成できます。
ケース2:ITに詳しい人が社内に一人もいない
「そもそも何をすればいいかわからない」「ベンダーの言いなりになっている」という状態では、たとえ社内SEを採用しても、その人材を適切にマネジメントできません。
このケースでは、IT戦略から一緒に考えてくれるパートナーが必要です。単なる「作業者」ではなく、「相談相手」としての役割を果たしてくれる存在が求められます。
例えば、弊社が提供する「月額制自社DX推進部」のような、企業のDX推進を伴走支援するサービスを活用する方法もあります。採用・教育コストをかけずに、必要なときに必要な分だけ専門家のリソースを活用できるため、特にIT部門を持たない中小企業から支持されています。
ケース3:人材は確保したいが、フルタイムは必要ない
「週に1〜2日、ITの相談に乗ってくれる人がいれば十分」というケースも多いはずです。
このケースでは、副業人材の活用や顧問契約が選択肢になります。フルタイム採用の半分以下のコストで、必要な知見を得ることができます。
こんな企業は、採用戦略を見直すべき
以下に当てはまる企業は、見えないコストを改めて計算し、採用戦略を見直すことをおすすめします。
- IT人材の採用活動を半年以上続けているが、成果が出ていない
- 過去に採用した社内SEが3年以内に離職した経験がある
- 「とりあえず採用しなければ」という焦りがある
- IT人材の適正年収や市場相場がわからない
- 採用できたとしても、何をさせればいいか明確でない
今、採用市場は完全に「売り手市場」です。焦って採用しても、ミスマッチや早期離職のリスクが高まるだけです。
立ち止まって、本当に正社員採用がベストなのかを考える。その時間こそが、結果的にコスト削減につながります。
まとめ:見えないコストを可視化し、最適な選択を
まとめ
年収800万円の社内SEを採用する場合、年収以外にかかる「見えないコスト」は以下の通りです。
| 項目 | コスト |
|---|---|
| 採用活動費 | 100〜200万円 |
| 教育・オンボーディング費 | 50〜100万円 |
| 福利厚生・間接人件費 | 120〜150万円 |
| 離職リスク(3年以内の場合) | 100〜200万円 |
| 合計 | 370〜650万円 |
← 横にスクロールできます →
つまり、実質的なコストは年収の1.5倍〜2倍に達する可能性があります。
もちろん、長期的に活躍してくれる人材を採用できれば、このコストは十分に回収できます。しかし、「採用できない」「採用してもすぐ辞める」という現実に直面しているのであれば、外部パートナーの活用や業務委託など、別の選択肢を真剣に検討する価値があります。
大切なのは、「IT人材を採用すること」ではなく、「ITを活用してビジネスを前進させること」です。
その目的を達成するための手段は、正社員採用だけではありません。
IT人材の確保やDX推進にお悩みの方は、ぜひ一度、現状の課題を整理するところから始めてみてください。「何から手をつければいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談いただければ、貴社に合った選択肢を一緒に考えさせていただきます。