まだ紙で保存してる?電子帳簿保存法の義務化対応
「うちはまだ紙で大丈夫」——その認識、もう通用しません
「電子帳簿保存法って聞いたことはあるけど、うちには関係ないでしょ?」
「経理担当が紙でやってくれてるし、困ってないから」
「対応が必要なのは大企業だけでは?」
もし、こうした認識をお持ちなら、今すぐ見直す必要があります。
2024年1月1日、電子帳簿保存法の「電子取引データの電子保存」が完全義務化されました。 これは企業規模を問わず、すべての事業者が対象です。メールで受け取った請求書、ECサイトの領収書、クラウドサービスの利用明細——これらを紙に印刷して保存することは、原則として認められなくなりました。
「知らなかった」では済まされません。義務化から2年以上が経過した今、税務調査で指摘されるリスクは日増しに高まっています。
「まだ何もしていない」企業は、想像以上に多い
実は、あなたの会社だけではありません。
中小企業を中心に、電子帳簿保存法への対応が完了していない企業はまだ数多く存在します。特に従業員数50名以下の企業では、「名前は聞いたことがあるが、具体的に何をすればいいかわからない」という声が圧倒的に多いのが実情です。
その理由は明確です。
- 法律の内容が複雑すぎる(電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分)
- 何から手をつければいいかわからない
- 対応に割ける人手がない(経理担当が1〜2名の企業が大半)
- システム導入のコストが不透明
「やらなきゃいけないのはわかっているけど、手が回らない」——この悩みは、あなただけのものではありません。
この記事で、最短の対応ルートがわかります
本記事では、電子帳簿保存法の「結局何をすればいいのか」を、最短ルートで解説します。
法律の細かい条文を読み込む必要はありません。あなたの会社が今日から何を始めればいいか、そしてどこまでやれば安全かがわかるように、実務ベースで整理しました。
電子帳簿保存法の対応ステップ
最短で対応を完了させる3つのステップ
ステップ1:自社の「対応範囲」を正しく把握する
電子帳簿保存法は3つの区分に分かれていますが、すべての企業が対応必須なのは「電子取引データの電子保存」だけです。
| 区分 | 内容 | 対応義務 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトで作成した帳簿・書類をデータのまま保存 | 任意(届出制) |
| スキャナ保存 | 紙の領収書・請求書をスキャンしてデータ保存 | 任意 |
| 電子取引データ保存 | メールやクラウドで受け取った取引データをデータのまま保存 | 義務 |
← 横にスクロールできます →
つまり、まず確認すべきは「自社でメールやクラウド経由で受け取っている請求書・領収書はどれか」ということです。
よくある対象例:
- メールで受信した請求書PDF
- Amazon・楽天などECサイトの領収書
- クラウド会計ソフトからダウンロードした明細
- チャットツールで送られてきた見積書
- Web上でダウンロードした銀行の取引明細
これらを紙に印刷して保管しているだけでは、法令違反の状態です。
ステップ2:保存要件を満たす仕組みを整える
電子取引データの保存には、以下の要件を満たす必要があります。
真実性の確保(改ざん防止):
以下のいずれか1つを実施すればOKです。
- タイムスタンプが付されたデータを受け取る
- 受け取ったデータにタイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の記録が残るシステムを使う
- 訂正削除防止に関する事務処理規程を定めて運用する(最もハードルが低い)
特に中小企業におすすめなのは4番の事務処理規程の策定です。システム投資なしで対応でき、国税庁がひな形を公開しているため、すぐに作成できます。
検索機能の確保:
- 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にする
- 売上高5,000万円以下の事業者は、税務調査時にデータをダウンロードできれば検索機能は不要(2024年1月以降の猶予措置)
具体的な運用例(コストゼロでできる方法):
フォルダ構成例:
📁 電子取引データ
📁 2026年
📁 01月
📄 20260115_㈱ABC商事_55000_請求書.pdf
📄 20260120_Amazon_3980_備品購入.pdf
ファイル名に「日付_取引先_金額_内容」を含めれば、検索要件を満たせます。
ステップ3:社内ルールを決めて運用を定着させる
仕組みを作っても、日々の運用が回らなければ意味がありません。
最低限決めるべきルール:
- 電子データを受け取った際の保存フロー(誰が・いつ・どこに保存するか)
- ファイル名の命名規則
- 事務処理規程の内容と周知方法
- 定期的なチェック体制(月次など)
ここで重要なのは、完璧を目指さないことです。まずは最低限の運用を始め、実務の中で改善していくのが最も確実なアプローチです。
運用定着のステップ
「対応しなかったら、どうなるのか」——知っておくべきリスク
ここまで読んで、「最悪、税務調査が来たときに対応すればいいのでは」と思った方もいるかもしれません。
しかし、そのリスクは想像以上に大きいものです。
青色申告の承認取消し
電子帳簿保存法に違反した場合、青色申告の承認が取り消される可能性があります。青色申告が取り消されると:
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられなくなる
- 欠損金の繰越控除が使えなくなる
- 各種引当金・準備金の計上ができなくなる
法人の場合、数百万円単位の税負担増になるケースも珍しくありません。
追徴課税のリスク
保存義務を果たしていないデータに基づく経費は、損金算入が否認される可能性があります。「データはあるのに保存方法が違うだけで経費として認められない」——これは冗談のような話ですが、法律上は十分にあり得ます。
会社法上の過料
会社法第976条により、帳簿書類の保存義務違反には100万円以下の過料が科される可能性もあります。
税務調査の「重点チェック項目」に
国税庁は電子帳簿保存法の執行を年々強化しています。今後の税務調査では、電子取引データの保存状況が定番のチェック項目になることは間違いありません。
「知らなかった」「対応する時間がなかった」は、法律上の免責事由にはなりません。
こんな企業は、今すぐ対応が必要です
- メールで請求書や領収書を受け取っているが、印刷して紙で保管している
- ECサイトでの購入履歴を経費計上しているが、データ保存のルールがない
- 電子帳簿保存法の対応を「後回し」にしている
- 経理担当者が1〜2名で、法改正への対応まで手が回らない
- 次の税務調査が不安だが、何を準備すればいいかわからない
義務化から2年以上が経過した今、「まだ対応していない」こと自体がリスクです。税務調査は突然やってきます。指摘を受けてから慌てて対応するのと、事前に準備を整えておくのとでは、結果は大きく異なります。
特に、経理のリソースが限られている中小企業ほど、外部の専門知識を活用して一気に対応を完了させる方が、結果的にコストも時間も抑えられます。私たちアイカが提供する月額制の自社DX推進部のようなサービスを活用すれば、電子帳簿保存法への対応だけでなく、経理業務全体のデジタル化を段階的に進めることも可能です。
まとめ
電子帳簿保存法対応のまとめ
電子帳簿保存法の対応は、難しく考える必要はありません。改めて、最短ルートを整理します。
- 対応範囲の把握:義務なのは「電子取引データの電子保存」だけ。まずは自社の電子取引を洗い出す
- 保存の仕組みづくり:事務処理規程+フォルダ管理で、コストゼロからスタートできる
- 運用ルールの策定:完璧を目指さず、最低限のルールで始めて改善していく
ただし、放置すればするほどリスクは蓄積します。青色申告の取消し、追徴課税、過料——これらは「対応していなかった期間」が長いほど、ダメージが大きくなります。
「何から始めればいいかわからない」なら、まずは現状を把握することが第一歩です。
アイカでは、電子帳簿保存法への対応状況を無料で診断するご相談を承っています。「自社はどこまで対応できているのか」「何が足りないのか」を明確にするだけでも、漠然とした不安は解消されます。