DXを丸投げしてはいけないが、実務は丸投げすべき理由|経営者が知るべき判断基準

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DXを丸投げしてはいけないが、実務は丸投げすべき理由DXを丸投げしてはいけないが、実務は丸投げすべき理由

DX推進で「丸投げ」して失敗する企業が後を絶たない現実

「うちもそろそろDXをやらないと」

そう考えて、ITベンダーやコンサルティング会社に相談した結果、数百万円〜数千万円のプロジェクトが始まり、1年後には「結局何も変わらなかった」という状況に陥る——。

残念ながら、これは珍しい話ではありません。

経済産業省の調査によると、DXに取り組む企業のうち、実際に成果を出せているのは約2割程度。つまり、8割の企業がDXに失敗しているのです。

なぜこれほど多くの企業が失敗するのでしょうか。

その最大の原因は、「丸投げの仕方」を間違えていることにあります。

経営者として、その判断ミスが会社の命取りになりかねない

「DXは専門的で難しいから、専門家に任せよう」

この判断自体は間違っていません。問題は、何を任せて、何を任せないかの線引きができていないことです。

多くの経営者が陥るパターンはこうです。

  • 「DXって何をすればいいかわからないから、全部お任せで」
  • 「とりあえず見積もりを出してもらって、良さそうなら進めよう」
  • 「現場が忙しいから、ベンダーさんに要件も考えてもらおう」

一見、効率的に見えるこの進め方が、実は最もコストがかかり、最もリスクが高い方法なのです。

なぜなら、外部のベンダーは「あなたの会社のビジネス」を知らないからです。

どんなに優秀なITコンサルタントでも、御社の顧客が何に困っているか、現場がどんな非効率に苦しんでいるか、競合と比べて何が強みなのかを、経営者以上に理解することはできません。

その状態で「全部お任せ」にすると、的外れなシステムができあがり、誰も使わず、投資が無駄になる。これがDX失敗の典型的なパターンです。

「戦略は握り、実務は手放す」——これがDX成功の鉄則

では、どうすればDXを成功させられるのでしょうか。

答えはシンプルです。

「戦略は自社で握り、実務は外部に丸投げする」

この切り分けさえできれば、コスト削減とリスクヘッジを両立しながら、確実にDXを前に進められます。

戦略と実務の切り分け戦略と実務の切り分け

具体的に、何を自社で握り、何を外部に任せるべきかを見ていきましょう。

自社で握るべき「戦略」と、外部に任せるべき「実務」の線引き

自社で握るべきこと:ビジネスの方向性と優先順位

DXで最も重要なのは、**「何のためにやるのか」**を明確にすることです。

  • 売上を上げたいのか、コストを下げたいのか
  • 顧客体験を良くしたいのか、社員の生産性を上げたいのか
  • 3年後にどんな状態になっていたいのか

これらの判断は、外部の専門家には絶対にできません。なぜなら、これはビジネスの判断であり、技術の判断ではないからです。

また、優先順位の決定も自社でしかできません。

「顧客管理と在庫管理、どちらを先にやるべきか」という問いに対して、正解を出せるのは、両方の業務を理解し、経営全体を見渡せる人だけです。

外部に任せるべきこと:技術選定と実装作業

一方で、以下のような実務は、むしろ外部に任せた方が効率的です。

  • どのツールやシステムを使うべきかの技術選定
  • 実際のシステム構築・設定作業
  • データの移行作業
  • 社員向けのマニュアル作成や研修

これらは専門知識が必要な作業であり、社内で一から学んでやるよりも、すでにノウハウを持っている外部パートナーに任せた方が、圧倒的に速く、安く、確実です。

なぜこの切り分けが「コスト削減」につながるのか

「外部に任せると高くつくのでは?」と思われるかもしれません。

実際、フルスクラッチでシステムを開発したり、大手コンサルに戦略策定から丸投げしたりすれば、数千万円〜数億円のコストがかかります。

しかし、戦略を自社で明確にした上で、実務だけを外部に任せる形であれば、話は変わります。

  • 要件が明確なので、見積もりが膨らまない
  • 手戻りが少ないので、追加費用が発生しにくい
  • 必要な作業だけを依頼できるので、無駄がない

結果として、「全部丸投げ」よりも大幅にコストを抑えられるのです。

コスト削減とリスクヘッジコスト削減とリスクヘッジ

なぜこの切り分けが「リスクヘッジ」になるのか

DXの最大のリスクは、**「作ったけど使われない」**ことです。

戦略を外部に丸投げすると、このリスクが跳ね上がります。なぜなら、外部の人間は「現場で本当に困っていること」を肌感覚で理解できないからです。

一方、戦略を自社で握っていれば、

  • 本当に必要な機能だけに絞れる
  • 現場が受け入れやすい形で導入できる
  • 途中で方向修正が必要になっても、自社判断で素早く対応できる

つまり、「使われないシステムを作ってしまうリスク」を最小化できるのです。

実務を「丸投げ」するための3つの準備

では、実務を外部に丸投げするために、経営者として何を準備すればよいのでしょうか。

1. 「現状の困りごと」を言語化する

最初にやるべきは、社内の困りごとを洗い出すことです。

  • 「毎月の請求書作成に3日かかっている」
  • 「顧客情報がExcelに散らばっていて、誰が何を買ったかわからない」
  • 「在庫の確認に現場まで行かないといけない」

このレベルで具体的に言語化できれば、外部パートナーは最適な解決策を提案できます。

逆に、「なんとなく効率化したい」「DXっぽいことをしたい」という曖昧な状態で相談すると、提案も曖昧になり、結果として失敗します。

2. 「優先順位」を決める

困りごとを洗い出したら、次は優先順位をつけます。

判断基準はシンプルです。

  • 効果が大きいもの:解決したときのインパクトが大きい
  • 実現しやすいもの:技術的・組織的なハードルが低い

この2軸で評価し、「効果が大きく、実現しやすいもの」から着手するのが鉄則です。

いきなり大きなプロジェクトに取り組むのではなく、小さな成功体験を積み重ねることで、社内の抵抗感を減らし、DXを加速させられます。

3. 「推進役」を決める

最後に、DXの推進役を社内で決めます。

これは必ずしも専任である必要はありません。ただし、以下の条件を満たす人が望ましいです。

  • 経営者と直接コミュニケーションが取れる
  • 現場の業務を理解している
  • 新しいことに前向きである

この推進役が、外部パートナーとの窓口になり、社内の調整を行います。

ここさえ決まれば、実務は安心して外部に任せられます。

こんな経営者・企業におすすめの進め方

以下のような状況にある方は、「戦略は握り、実務は手放す」アプローチが特に有効です。

  • IT人材がいない、または少ない中小企業の経営者
  • 過去にDXプロジェクトで失敗した経験がある方
  • 「何から始めればいいかわからない」と感じている方
  • 大きな投資をする前に、小さく試したい方
  • 社内にDX推進の専任を置く余裕がない方

これらの条件に当てはまる場合、自社だけで無理にDXを進めようとするのは得策ではありません。

戦略の部分は経営者自身が考え、実務は信頼できる外部パートナーに任せる。この役割分担が、最もコストパフォーマンスが高く、リスクも低い進め方です。

特に最近では、大規模なシステム投資をしなくても、月額制で専門家のサポートを受けられるサービスも増えています。たとえば月額制で自社のDX推進部を持つような形で、戦略は自社で握りながら、実務を外部に任せるというアプローチを取る企業も増えています。

重要なのは、今すぐ完璧なDXを目指すのではなく、小さく始めて、確実に成果を出すことです。

競合がDXで効率化を進める中、何もしないことが最大のリスクになりつつあります。

まとめ:DX成功の鍵は「丸投げの仕方」にある

DX成功のポイントDX成功のポイント

本記事のポイントをまとめます。

DXで失敗する企業の共通点

  • 戦略も実務も外部に丸投げしている
  • 「何のためにやるか」が曖昧なまま進めている
  • 結果として、使われないシステムと無駄なコストが発生する

DXを成功させるための鉄則

  • 戦略(目的・優先順位)は自社で握る
  • 実務(技術選定・実装)は外部に丸投げする
  • この切り分けで、コスト削減とリスクヘッジを両立できる

実務を丸投げするための準備

  1. 現状の困りごとを具体的に言語化する
  2. 優先順位を決める
  3. 社内の推進役を決める

DXは、正しいやり方で進めれば、中小企業でも確実に成果を出せます。

逆に、やり方を間違えると、どれだけ投資しても成果は出ません。

まずは、自社の「困りごと」を3つ書き出すことから始めてみてください。それが、DX成功への第一歩です。

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