VPN接続が遅い・切れる!テレワーク時代のセキュアなリモートアクセス最適解

VPNリモートアクセスひとり情シスゼロトラストテレワーク

VPN接続が遅い・切れる!テレワーク時代のセキュアなリモートアクセス最適解VPN接続が遅い・切れる!テレワーク時代のセキュアなリモートアクセス最適解

「またVPNが切れた…」テレワークの生産性を蝕む見えない敵

「朝礼直前にVPNがつながらない」「大事なファイルのダウンロード中に切断された」「会議中に音声が途切れる」——テレワークが当たり前になった今、VPNにまつわるトラブルは、もはや日常茶飯事になっていないでしょうか。

社員からの問い合わせは情シス部門に集中し、対応に追われる毎日。特にひとり情シスとして孤軍奮闘されている方にとっては、VPN障害のたびに業務が止まり、自分の本来やるべきDX推進や戦略業務に手がつけられない、というジレンマを抱えているはずです。

しかも厄介なのは、VPNの設定や運用ノウハウが特定の担当者にしか分からない属人化状態に陥りやすいこと。「あの人がいないと何も触れない」「退職されたら誰もメンテナンスできない」という退職リスクは、情シス領域における最大級の経営リスクと言っても過言ではありません。

その悩み、決してあなただけの問題ではありません

実は、同じ悩みを抱えている企業は驚くほど多いのです。コロナ禍以降、急場しのぎで導入したVPNが、ユーザー数の増加や扱うデータ量の増大に耐えられず、「遅い」「切れる」「セキュリティが不安」という三重苦に陥っているケースが後を絶ちません。

特に中小企業や成長フェーズのスタートアップでは、以下のような状況がよく見られます。

  • VPN装置のスペックが当時のままで、社員数の増加に追いついていない
  • 設定ファイルや証明書の管理が、特定担当者のローカルPCに散らばっている
  • ログが取れていない、あるいは取れていても誰も見ていない
  • セキュリティアップデートが半年以上適用されていない
  • 「触ると壊れそうで怖い」と現場が言い出している

これらは決して「ダメな情シス」のせいではありません。リソースが限られた中で、目の前の業務を回すために最善を尽くしてきた結果なのです。問題は、VPNという仕組み自体が、現代のテレワーク要件にそもそも向いていないという構造的な事実にあります。

この記事で分かること——VPN問題を根本から解決する道筋

本記事では、テレワーク時代のVPN問題を「機器の入れ替え」という対症療法ではなく、ゼロトラストの考え方を取り入れた次世代リモートアクセスへ移行することで根本解決する方法をお伝えします。

さらに、ひとり情シスが抱えがちな属人化・退職リスクを同時に解消する運用設計のコツや、外部の専門家とどう付き合えば失敗しないかについても、実践的に解説していきます。

ゼロトラストへの移行で根本解決ゼロトラストへの移行で根本解決

解決策の柱——VPNから卒業するための3つのアプローチ

アプローチ1:ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)への移行

VPNが遅い・切れる根本原因は、「全社員の通信を一度データセンターに集約してから外に出す」という構造そのものにあります。ユーザーが増えれば増えるほどボトルネックが発生し、回線も装置も悲鳴を上げるのは必然です。

これに対してZTNAは、ユーザーごと・アプリケーションごとに必要な接続だけを確立する仕組みです。社内システムへのアクセスはZTNA経由で、SaaSへのアクセスはインターネットから直接、というように通信を分散できるため、体感速度は劇的に改善します。

代表的なサービスとしては、Cloudflare Access、Zscaler Private Access、Microsoft Entra Private Accessなどがあります。多くはクラウド型で、装置の管理から解放されるのも大きなメリットです。

アプローチ2:SASE(サシー)で通信とセキュリティを統合する

ZTNAと併せて検討したいのが、**SASE(Secure Access Service Edge)**というアーキテクチャです。SASEは、ZTNA・SWG(セキュアWebゲートウェイ)・CASB・FWaaSといった複数のセキュリティ機能をクラウド上に統合し、世界中どこからアクセスしても同じセキュリティポリシーを適用できる仕組みです。

これにより、「自宅からは保護されるけど出張先のホテルWi-Fiでは無防備」といった抜け穴をなくせます。情シス側からすると、ポリシーを一箇所で管理できるため、運用負荷も大幅に軽減されます。

アプローチ3:アイデンティティ中心のアクセス管理

ZTNAやSASEを導入する大前提となるのが、ID基盤の整備です。Microsoft Entra ID(旧Azure AD)やGoogle Workspaceなどを軸に、シングルサインオン(SSO)と多要素認証(MFA)を全社的に展開しましょう。

「誰が」「どの端末で」「どこから」「何にアクセスしようとしているか」を毎回検証することで、VPNのように一度入ったら何でもできてしまう状態を防げます。これがゼロトラストの本質です。

段階的に進めるリモートアクセス刷新ステップ段階的に進めるリモートアクセス刷新ステップ

具体的な進め方——失敗しない移行ロードマップ

ステップ1:現状の棚卸しと業務影響の可視化

まずは「誰が」「いつ」「どのシステムに」「どんな目的で」VPNを使っているかを洗い出します。意外と「もう誰も使っていない経路」が残っていたり、「実はSaaS化できるのにオンプレ運用が続いている」業務が見つかったりします。この時点で対象範囲を絞り込めれば、移行の難易度は一気に下がります。

ステップ2:ID基盤とMFAの全社展開

次に、認証基盤を一本化します。バラバラのアカウントを統合し、全システムでSSOとMFAを必須化しましょう。ここを固めずにZTNAだけ入れても、効果は半減してしまいます。

ステップ3:ZTNAのスモールスタート

いきなり全社移行はリスクが高いので、まずは情シス自身や、特定の部門・特定のアプリケーションだけでパイロット運用を行います。ユーザー体験と運用負荷の両面で評価し、課題を洗い出してから全社展開に進むのが鉄則です。

ステップ4:運用ドキュメントとログ監視の体制化

そして最も重要なのが、運用を属人化させないこと。手順書・構成図・障害対応フローをドキュメント化し、誰が見ても同じ操作ができる状態を作ります。ログ監視やアラート対応も、可能ならマネージドサービスやMDR(Managed Detection and Response)の活用を検討しましょう。

ひとり情シスにこそ、外部の「もう一人」を

ここまで読んで、「やるべきことは分かったけれど、ひとり情シスでは到底回せない」と感じた方も多いはずです。実際、ZTNA移行はプロジェクトとしての要素が強く、片手間で進めるには重すぎるテーマです。

そんなときに有効なのが、外部の伴走型支援を活用するという選択肢です。たとえば当社が提供している月額制自社DX推進部では、ひとり情シスの「もう一人の同僚」のような立ち位置で、リモートアクセスの設計レビューから運用ドキュメント整備、ベンダー選定の壁打ちまで、月額の定額でご一緒することが可能です。属人化や退職リスクの解消にも自然とつながるため、「VPN刷新を機に情シス体制ごと見直したい」という方にはひとつの選択肢としてご検討いただければと思います。

こんな方に、今すぐ行動していただきたい

  • ひとり情シス/少人数情シスとして、VPN障害対応に疲弊している方
  • VPN装置の保守期限切れ・リプレイス時期が迫っている方
  • テレワーク導入から数年が経ち、当時の設計が現状に合わなくなってきている方
  • 担当者の退職や異動を控えていて、属人化した運用に強い不安を感じている方
  • セキュリティインシデントを経験した、もしくは類似業界での事故報道に危機感を覚えている方
  • 「ゼロトラスト」というキーワードは聞くけれど、何から始めればよいか分からない方

なぜ「今すぐ」なのか。それは、VPN関連のインシデントが年々増加しており、攻撃者にとってVPN装置は格好の侵入口になっているからです。また、属人化したまま担当者が退職すると、移行プロジェクト自体が立ち上がらないまま塩漬けになるリスクがあります。「壊れてから動く」では、テレワーク時代のスピードには到底追いつけません。

まとめ——VPNからの卒業は、情シス体制刷新のチャンス

VPN刷新と情シス体制強化のまとめVPN刷新と情シス体制強化のまとめ

VPNが遅い・切れるという日常的な不満は、実は「設計思想が時代に合っていない」というもっと根深い問題のシグナルです。本記事では、その解決策としてZTNAやSASEといったゼロトラスト型の次世代リモートアクセスへの移行と、ID基盤・運用ドキュメント・外部活用を組み合わせた現実的なロードマップをお伝えしました。

ポイントを振り返ると次の通りです。

  • VPNの遅延・切断は、装置の老朽化だけでなく構造的な限界によるもの
  • ZTNA/SASEへの移行で、速度・セキュリティ・運用負荷を同時に改善できる
  • ID基盤とMFAの整備が、ゼロトラストの土台になる
  • スモールスタートで進め、ドキュメント化と監視体制で属人化を防ぐ
  • ひとり情シスの場合は、外部の伴走支援を組み合わせるのが現実的

「明日からいきなりZTNAを入れる」のは難しくても、現状把握とID基盤の見直しは今日からでも始められます。まずは自社のVPN利用状況を棚卸しし、本当に守るべきものは何か、誰がどう運用していくのかを言語化するところから一歩を踏み出してみてください。

もし「進め方の壁打ち相手が欲しい」「設計レビューを誰かにお願いしたい」と感じたら、月額制自社DX推進部のページもあわせてご覧ください。ひとり情シスのあなたが、VPN対応に追われる毎日から解放され、本来取り組むべきDX推進や経営貢献にエネルギーを注げる状態を、一緒につくっていけたらうれしく思います。

関連記事