補助金・助成金を使って実質0円でDXを進める裏ワザと注意点
「DXを進めたいけど、予算がない」という悩み
「うちもそろそろDXを進めないと」——そう思いながらも、なかなか一歩を踏み出せない経営者の方は多いのではないでしょうか。
その最大の理由はコストです。
システム導入には数百万円、大規模なものなら数千万円の投資が必要になることも珍しくありません。しかも、導入してすぐに効果が出るとは限らない。投資回収までの期間も読みにくい。
「失敗したらどうしよう」「今の業績で大きな投資に踏み切れない」——こうした不安から、DXの検討を先送りにしてしまう。その気持ちは十分に理解できます。
しかし、ここで一つ質問させてください。
**「補助金・助成金を使えば、実質0円でDXを始められる」**ということをご存知でしょうか?
実は、国や自治体は中小企業のDX推進を強力に支援しています。うまく活用すれば、本来かかるはずだった費用の**最大75%〜80%**が補助されるケースもあるのです。
あなただけではありません——多くの経営者が同じ壁にぶつかっています
「補助金があるのは知っているけど、うちには関係ないと思っていた」 「申請が面倒そうで、手を出せなかった」 「過去に申請したけど、不採択だった」
こうした声をよく耳にします。
実際、補助金・助成金の存在は知っていても、約7割の中小企業が活用できていないというデータもあります。その理由は様々ですが、「情報不足」「申請の手間」「自社に合う制度がわからない」といった声が多く聞かれます。
しかし、それは非常にもったいないことです。
補助金・助成金は「返済不要のお金」です。融資と違って、返す必要がありません。これを使わない手はないのです。
そして何より、競合他社はすでに活用している可能性があるという事実を忘れてはいけません。同じ業界で、同じような規模の会社が、補助金を使って最新システムを導入している——そんな状況で、自社だけが足踏みしていては、差は開く一方です。
この記事でわかること——補助金を使ったDX実現の全体像
この記事では、以下のことを詳しく解説していきます。
- DXに使える主要な補助金・助成金の種類と特徴
- 補助金申請で採択率を上げるための具体的なポイント
- 見落としがちな注意点とリスクヘッジの方法
- 実質0円でDXを実現するための戦略的な進め方
「補助金なんて、うちには無理」と諦めていた方も、この記事を読み終える頃には「これなら挑戦できるかもしれない」と思えるはずです。
DX補助金の解決策
DXに活用できる主要な補助金・助成金
IT導入補助金——最も使いやすいDX支援制度
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助する制度です。最も利用しやすく、採択率も比較的高いのが特徴です。
補助率と上限額(2024年度実績ベース)
- 通常枠:補助率1/2、上限450万円
- インボイス枠:補助率2/3〜3/4、上限350万円
- セキュリティ対策推進枠:補助率1/2、上限100万円
- 複数社連携IT導入枠:補助率1/2〜2/3、上限3,000万円
対象となるツール例
- 会計ソフト、販売管理システム
- 顧客管理(CRM)、営業支援(SFA)ツール
- 勤怠管理、人事労務システム
- ECサイト構築、予約管理システム
- RPAツール、ワークフローシステム
IT導入補助金の特徴は、事前に登録されたITツールから選ぶ形式であること。つまり、「このツールを導入したい」というよりは、「補助対象のツールの中から、自社に合うものを選ぶ」というアプローチになります。
ものづくり補助金——より大規模なDX投資に
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。名前に「ものづくり」とありますが、サービス業や小売業も対象です。
補助率と上限額
- 通常枠:補助率1/2(小規模事業者は2/3)、上限750万円〜1,250万円
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠:補助率2/3、上限750万円〜1,250万円
- デジタル枠:補助率2/3、上限750万円〜1,250万円
- グリーン枠:補助率2/3、上限750万円〜4,000万円
IT導入補助金よりも大きな金額を補助してもらえるのが魅力です。ただし、その分審査も厳しく、しっかりとした事業計画が求められます。
対象となる例
- 生産管理システムの導入
- 工場のIoT化・スマートファクトリー化
- AI・機械学習を活用した業務改善
- 自社ECサイトの本格構築
事業再構築補助金——大胆な事業転換を支援
コロナ禍で創設された補助金ですが、現在も継続しています。新分野展開、業態転換、事業再編など、思い切った事業の変革を支援します。
補助率と上限額
- 成長枠:補助率1/2(中小企業は2/3)、上限7,000万円
- グリーン成長枠:補助率1/2、上限最大1.5億円
金額が大きい分、審査は非常に厳しいです。「なぜその事業転換が必要なのか」「実現可能性はあるのか」「市場性はあるのか」といった点を、説得力のある形で示す必要があります。
小規模事業者持続化補助金——小さく始めたい方に
従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者向けの補助金です。
補助率と上限額
- 通常枠:補助率2/3、上限50万円
- 賃金引上げ枠・卒業枠など:補助率2/3、上限200万円
金額は小さいですが、申請のハードルが低く、採択率も高いのが特徴。「まずは小さくDXを始めてみたい」という場合に適しています。
対象となる例
- ホームページ制作
- SNS運用支援ツール
- POSレジの導入
- 簡易的な予約システム
自治体独自の補助金——見落としがちな穴場
国の補助金だけでなく、都道府県や市区町村が独自に実施している補助金もあります。これが意外と穴場です。
例えば、東京都では「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」などがあり、国の補助金と併用できるケースもあります。
「国の補助金で7割補助、自治体の補助金で残りの一部を補助」という形で、実質負担をさらに減らせる可能性があるのです。
補助金活用のステップ
採択率を上げるための5つのポイント
補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではありません。審査があり、採択されなければ補助金は受け取れません。ここでは、採択率を上げるためのポイントを解説します。
ポイント1:「加点項目」を意識した準備をする
多くの補助金には加点項目があります。これを満たしているかどうかで、採択率が大きく変わります。
代表的な加点項目
- 経営革新計画の承認を受けている
- 事業継続力強化計画(BCP)の認定を受けている
- 賃上げ計画を提出している
- DX推進計画を策定している
- 女性・若者・シニアの活躍推進に取り組んでいる
これらの計画や認定は、補助金申請前に取得しておくことが重要です。特に「経営革新計画」や「事業継続力強化計画」は、取得に時間がかかるため、早めの準備が必要です。
ポイント2:「なぜDXが必要なのか」を明確に説明する
審査員は、あなたの会社のことを知りません。だからこそ、「なぜ今、DXが必要なのか」を具体的に説明する必要があります。
単に「業務効率化のため」では弱い。以下のような具体性が求められます。
- 「現在、受注処理に1件あたり30分かかっており、月間500件の処理で250時間を費やしている。システム導入により、これを50時間に削減し、空いた時間を営業活動に充てることで売上20%増を目指す」
数字を使って、現状の課題と導入後の効果を具体的に示すことが重要です。
ポイント3:実現可能性を示す
「こんなすごいことをやります」という壮大な計画よりも、「確実に実行できる」という実現可能性の方が重要視されます。
- 導入するツールやシステムの実績
- 社内の推進体制(誰が責任者で、誰が実務を担当するか)
- 導入スケジュールの妥当性
- 必要なスキルや知識の確保方法
これらを具体的に示すことで、「この会社なら確実にやり遂げるだろう」と思ってもらえます。
ポイント4:支援機関を活用する
補助金申請は、一人で進める必要はありません。むしろ、専門家の支援を受けた方が採択率は上がります。
活用できる支援機関
- よろず支援拠点(無料)
- 商工会議所・商工会
- 認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)
- ITベンダー(IT導入補助金の場合)
特に「認定支援機関」の関与が必須の補助金も多いため、早めに相談先を見つけておくことをおすすめします。
ポイント5:余裕を持ったスケジュールで申請する
補助金には申請期限があります。ギリギリになって慌てて申請すると、書類の不備や内容の薄さにつながります。
理想は、公募開始から1〜2週間以内に申請を完了すること。早めに申請することで、修正の機会も得られやすくなります。
また、補助金の公募は年に複数回行われることが多いため、「今回は準備が間に合わない」と判断したら、次回の公募に照準を合わせるという選択肢もあります。
見落としがちな注意点とリスクヘッジ
補助金は魅力的ですが、知らないと損をするポイントもあります。経営者として押さえておくべき注意点を解説します。
注意点1:「先に払って、後から補助」が基本
多くの補助金は後払い(精算払い)方式です。つまり、先に自社で全額を支払い、事業完了後に補助金が振り込まれます。
例えば、500万円のシステムを導入し、2/3の補助を受ける場合:
- まず自社で500万円を支払う
- 事業完了報告を行う
- 審査後、約333万円が振り込まれる
この間、数ヶ月〜半年程度のタイムラグがあります。その間の資金繰りを考慮しておく必要があります。
融資を活用する場合は、「補助金を前提とした融資」を扱っている金融機関もあるので、相談してみてください。
注意点2:「補助対象外」の経費に注意
補助金で何でも賄えるわけではありません。補助対象外となる経費があります。
補助対象外になりやすい例
- 既存システムの保守費用
- 人件費(一部補助金を除く)
- 消耗品費
- 土地・建物の取得費
- 自社で開発する場合の内製費用
「システム導入費用だと思っていたら、実は対象外だった」ということがないよう、事前に確認しておきましょう。
注意点3:申請から入金までの期間を把握する
補助金の入金までには、想像以上に時間がかかります。
一般的なスケジュール(IT導入補助金の場合)
- 公募開始〜申請:1〜2ヶ月
- 審査〜採択発表:1〜2ヶ月
- ツール導入・支払い:採択後〜事業実施期間内
- 実績報告・審査:導入完了後1〜2ヶ月
- 補助金入金:審査完了後1〜2ヶ月
トータルで半年から1年程度かかることも珍しくありません。「すぐにお金が入ってくる」という期待は禁物です。
注意点4:不採択でもリスクを最小化する方法
「申請したけど不採択だった」という場合、準備にかけた時間と労力が無駄になるのでは——そんな不安もあるでしょう。
しかし、リスクを最小化する方法はあります。
リスクヘッジの方法
- 複数の補助金に同時申請する(重複受給は不可だが、申請自体は可能なケースが多い)
- 不採択でも導入価値があるツールを選ぶ
- 次回公募に再チャレンジする(改善点がフィードバックされることも)
- 補助金なしでも投資対効果が見込める計画にする
特に重要なのは、**「補助金がなくても価値がある投資かどうか」**を見極めることです。補助金はあくまでも「お得に導入できる手段」であり、目的ではありません。
注意点5:継続的なコストも考慮する
システム導入は「一度入れて終わり」ではありません。ランニングコストがかかります。
- 月額利用料(SaaSの場合)
- 保守・メンテナンス費用
- バージョンアップ費用
- 追加ライセンス費用
補助金で初期費用を賄えても、その後の維持費用は自社負担になります。3年、5年というスパンでの総コストを計算しておくことが重要です。
ここで一つの選択肢として、月額制でDX推進を支援してもらえるサービスを検討する方法もあります。例えば、弊社の「月額制自社DX推進部」では、月々定額でシステム開発からサポートまで一括対応しています。補助金で初期導入を行い、その後の運用や追加開発を月額制で賄うという組み合わせも、コストを平準化する上で有効な戦略です。
こんな経営者の方におすすめ
- **「DXを進めたいが、大きな初期投資に踏み切れない」**という方
- **「競合がIT化を進めている中、自社も対応が必要だと感じている」**という方
- **「補助金の存在は知っているが、どう活用すればいいかわからない」**という方
- **「過去に申請したが不採択だった。再チャレンジしたい」**という方
- **「リスクを最小限に抑えながら、着実にDXを進めたい」**という方
補助金を活用したDXは、「やらない理由」を「やれる理由」に変える最も現実的な方法です。
特に今、DXを先送りにしている間にも、補助金の予算枠は消化されていきます。申請のチャンスは限られています。「いつかやろう」ではなく、**「次の公募で申請する」**と決めて動き出すことをおすすめします。
まとめ——実質0円でDXを実現するために
まとめ
補助金・助成金を活用すれば、DX投資の負担を大幅に軽減できます。最後に、記事のポイントをまとめます。
DXに使える主要な補助金
- IT導入補助金:最も使いやすく、採択率も高い
- ものづくり補助金:大規模な投資に対応
- 事業再構築補助金:大胆な事業転換を支援
- 小規模事業者持続化補助金:小さく始めたい方に
- 自治体独自の補助金:国の制度と併用可能なケースも
採択率を上げるポイント
- 加点項目を意識した事前準備
- 「なぜDXが必要か」を数字で具体的に説明
- 実現可能性を示す推進体制とスケジュール
- 支援機関の活用
- 余裕を持ったスケジュール
見落としがちな注意点
- 後払いが基本。資金繰りを考慮
- 補助対象外の経費を確認
- 入金まで半年〜1年かかることも
- 不採択リスクに備えた計画
- ランニングコストも含めた総コスト計算
補助金は「返済不要のお金」です。これを活用しない手はありません。
しかし、補助金申請には手間と時間がかかるのも事実。「自社だけで進めるのは難しい」と感じたら、専門家や支援機関に相談することをおすすめします。
DXは、もはや「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」の問題です。
補助金という追い風がある今こそ、一歩を踏み出すベストタイミングではないでしょうか。
まずは、自社で使えそうな補助金の情報を集めることから始めてみてください。そして、次の公募が始まったら、迷わず申請の準備を進めましょう。
次のアクション
- 自社の課題と、導入したいシステムを整理する
- 使えそうな補助金の公募スケジュールを確認する
- 商工会議所や認定支援機関に相談する
- 必要な加点項目(経営革新計画など)の取得を検討する
補助金を味方につけて、実質0円でDXを実現しましょう。