「ひとり情シス」が退職を申し出た日に経営者がやるべき3つのこと

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「ひとり情シス」の退職がもたらす経営危機

「社長、お話があります。実は退職を考えておりまして...」

この一言を聞いた瞬間、あなたの頭の中には何が浮かびましたか。

「あの人がいなくなったら、会社のシステムは誰が面倒を見るんだ」 「パスワードやサーバーの設定、あの人しか知らないぞ」 「来月のシステム更新、どうなる...」

中小企業の約7割が「ひとり情シス」体制だと言われています。つまり、たった一人の担当者に会社のITインフラすべてを任せている状態です。

その一人が退職を申し出た瞬間、あなたの会社は深刻な経営リスクに直面することになります。

退職がもたらす3つの致命的リスク

1. システム停止リスク

サーバーの管理、ネットワークの設定、各種システムの保守。これらすべてを一人で担っていた担当者がいなくなれば、トラブル発生時に対応できる人間がいなくなります。システムが止まれば、業務も止まります。売上も止まります。

2. 情報セキュリティリスク

パスワード管理、アクセス権限の設定、セキュリティパッチの適用。これらの知識が属人化していると、退職後に「誰も管理者パスワードを知らない」という事態が起こり得ます。最悪の場合、情報漏洩やサイバー攻撃への脆弱性が生まれます。

3. 業務継続リスク

社内システムの使い方、トラブル時の対処法、ベンダーとの契約内容。こうした暗黙知が引き継がれないまま退職されると、日常業務にも支障をきたします。

「まさか」は突然やってくる

「うちの情シス担当は長く勤めてくれているから大丈夫」

そう思っていませんか。

しかし、退職の理由は様々です。家庭の事情、体調不良、キャリアアップ、人間関係。どれも予測が難しいものばかりです。

実際、私たちが支援してきた企業でも、こんな声をよく聞きます。

「10年以上いてくれたから安心していたのに、突然の退職で途方に暮れた」 「引き継ぎ期間が2週間しかなく、全然間に合わなかった」 「退職後にシステムトラブルが起きて、誰に聞けばいいかわからなかった」

経営者として、この「まさか」に備えておくことは、コスト削減以上に重要なリスクヘッジなのです。

この記事で解決できること

解決策解決策

この記事では、「ひとり情シス」が退職を申し出た当日から、経営者であるあなたが取るべき3つの具体的なアクションをお伝えします。

これらを実行することで、以下のことが実現できます。

  • システム停止による売上損失を防ぐ
  • 情報セキュリティリスクを最小化する
  • 業務継続性を確保する
  • 次の体制構築に向けた準備を整える

「突然の退職」を「計画的な体制移行」に変えるための、経営者向け実践ガイドです。

退職を申し出られた日にやるべき3つのこと

1. 「IT資産台帳」の即日作成を依頼する

提案提案

退職を申し出られたその日のうちに、情シス担当者に「IT資産台帳」の作成を依頼してください。

IT資産台帳とは、会社のIT環境に関するすべての情報を一覧化したものです。

最低限記載すべき項目:

  • ハードウェア一覧:サーバー、PC、ネットワーク機器の型番・設置場所・購入日
  • ソフトウェア一覧:利用中のシステム、ライセンス情報、契約更新日
  • アカウント情報:管理者ID、パスワード(暗号化して保管)
  • ベンダー連絡先:保守契約先、緊急連絡先、担当者名
  • 定期作業一覧:バックアップ、セキュリティ更新などのスケジュール

「そんなもの、すでにあるはずだ」と思うかもしれません。しかし、実際に確認してみると、「担当者の頭の中にしかない」情報が驚くほど多いものです。

経営者としてのポイント:

この作業を「引き継ぎ資料の作成」ではなく「会社資産の棚卸し」として位置づけてください。退職の意思表示後でも、これは業務命令として依頼できる正当な作業です。

また、この台帳は退職者だけでなく、経営者自身も目を通すべきです。自社のIT環境がどうなっているのか、経営者として把握しておくことは、今後の意思決定に必ず役立ちます。

2. 「暫定対応体制」を48時間以内に構築する

退職の申し出から正式な退職日までの期間は、法律上は2週間です。しかし、実際には引き継ぎ期間として1〜2ヶ月を設けるケースが多いでしょう。

この期間中に「暫定対応体制」を構築することが、2つ目のアクションです。

暫定対応体制の選択肢:

A. 社内人材の育成

  • メリット:コストを抑えられる、社内事情に詳しい
  • デメリット:育成に時間がかかる、本来業務との兼務になる

B. 外部ベンダーへの委託

  • メリット:専門性が高い、即座に対応可能
  • デメリット:コストがかかる、社内事情の把握に時間がかかる

C. 人材派遣・業務委託

  • メリット:即戦力を確保できる
  • デメリット:コストがかかる、定着しない可能性がある

どの選択肢を選ぶかは、会社の規模、IT環境の複雑さ、予算によって異なります。

経営者としてのポイント:

重要なのは「48時間以内に方針を決める」ことです。

退職の申し出を受けてから時間が経つほど、担当者のモチベーションは下がり、引き継ぎの質も低下します。また、外部リソースを確保するにも時間がかかります。

「もう少し考えてから...」と先延ばしにするのは、最も避けるべき選択です。

なお、中長期的な視点では、特定の個人に依存しない体制づくりが重要です。月額制で自社にDX推進部を持つという選択肢も、リスク分散とコスト最適化を両立する方法として検討に値します。

3. 「退職後30日間」の緊急対応契約を結ぶ

3つ目のアクションは、退職者との「緊急対応契約」の締結です。

これは、正式な退職後も一定期間、緊急時に連絡を取れる状態を維持するための契約です。

契約に含めるべき内容:

  • 対応期間:退職後30日間(延長オプションあり)
  • 対応範囲:システム障害発生時の電話・メール相談
  • 報酬:時間単価または月額固定(相場は時給5,000〜10,000円程度)
  • 対応時間:平日9時〜18時など、範囲を明確に

「退職する人に頼むなんて...」と思うかもしれません。しかし、これは双方にメリットのある取引です。

退職者にとっては、退職後の収入源になります。会社にとっては、最悪の事態を回避するための保険になります。

経営者としてのポイント:

この契約は「お願い」ではなく「ビジネス上の取引」として提案してください。

感情的なしがらみを持ち込まず、あくまでプロフェッショナルな関係として契約を結ぶことで、退職者も気持ちよく協力してくれます。

また、この契約があることで、引き継ぎ期間中のプレッシャーも軽減されます。「すべてを引き継がなければ」という焦りがなくなり、結果として引き継ぎの質も向上します。

こんな経営者におすすめの内容です

  • ひとり情シス体制の企業経営者:退職リスクに備えたい方
  • IT担当者の退職を経験した経営者:同じ失敗を繰り返したくない方
  • 属人化したIT環境に不安を感じている経営者:体制の見直しを検討している方
  • コスト削減とリスクヘッジを両立したい経営者:効率的なIT投資を考えている方

今すぐ行動すべき理由

「ひとり情シス」の退職は、いつ起きてもおかしくありません。

そして、一度システムが停止したり、情報漏洩が起きたりすれば、その損害は計り知れません。売上の損失、信用の失墜、最悪の場合は事業継続の危機にまで発展します。

一方、今日この記事で紹介した3つのアクションを実行するコストは、ほぼゼロです。必要なのは、経営者としての決断と行動だけです。

「備えあれば憂いなし」という言葉があります。IT環境においても、この言葉は当てはまります。

まとめ:経営者が今日からできること

まとめまとめ

「ひとり情シス」が退職を申し出た日に、経営者がやるべき3つのことをまとめます。

1. IT資産台帳の即日作成を依頼する

  • 会社のIT環境を「見える化」する
  • 属人化した知識を文書化する

2. 暫定対応体制を48時間以内に構築する

  • 社内育成・外部委託・人材派遣から選択
  • 方針決定を先延ばしにしない

3. 退職後30日間の緊急対応契約を結ぶ

  • ビジネス上の取引として提案
  • 引き継ぎ期間のプレッシャーを軽減

これらのアクションは、退職を申し出られた「その日」から実行できます。

そして、これらを実行することで、「突然の退職」という危機を「計画的な体制移行」という機会に変えることができます。

経営者として、会社のITリスクを把握し、適切にコントロールすること。それは、コスト削減と同様に重要な経営判断です。

この記事が、あなたの会社のリスクヘッジに少しでも役立てば幸いです。


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