情シス不在の会社が「週1回だけ来てくれるIT担当」を確保する方法

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情シス不在の会社が「週1回だけ来てくれるIT担当」を確保する方法情シス不在の会社が「週1回だけ来てくれるIT担当」を確保する方法

「パソコンが動かない」——その一言で、業務が止まる会社

月曜の朝、出社したらパソコンが起動しない。メールが送れない。社内サーバーに接続できない。プリンターが反応しない——。

こんなとき、あなたの会社では誰が対応していますか?

「ちょっとパソコンに詳しい総務の人」「昔からいるベテラン社員」「社長が自分で調べてなんとかする」。中小企業の現場では、こうした光景が当たり前のように繰り広げられています。

総務省の「情報通信白書」によると、従業員100人以下の企業の約7割が専任のIT担当者を置いていません。IT業務は「本業の片手間」で処理され、誰かが善意でなんとかしているのが実態です。

しかし、その「なんとかしてくれる人」が辞めたら? 異動したら? 体調を崩したら?——その瞬間、会社のIT環境は誰にも手が出せないブラックボックスになります。

「うちは小さい会社だから仕方ない」と思っていませんか

「専任のIT担当なんて、大企業の話でしょう」「うちみたいな数十人の会社には贅沢」「困ったらその都度、業者に電話すればいい」——。

そう思う気持ちは、よくわかります。

実際、情シス(情報システム部門)の専任者を正社員として雇用すれば、年間500万〜700万円のコストがかかります。従業員30人の会社にとって、この人件費は現実的ではありません。

だからこそ、「ひとり情シス」体制が生まれます。本業を持ちながらIT管理も兼任する社員。あるいは、たまたまITに詳しかった社員が、いつの間にかすべてのIT業務を背負っている状態です。

問題は、この体制が構造的に破綻するリスクを内包していることです。

  • 属人化:パスワード、設定手順、ベンダーとの契約内容——すべてが1人の頭の中にしかない
  • 退職リスク:その人が辞めた瞬間、引き継ぎ不可能な状態に陥る
  • セキュリティの穴:兼任ゆえに最新の脅威に対応しきれず、知らぬ間にリスクが蓄積する
  • 負担の集中:「パソコンのことは全部あの人に」と頼られ続け、本業に支障が出る

「仕方ない」で済ませた結果、取り返しのつかない事態を招いた企業は少なくありません。

ある製造業の会社では、10年間ひとり情シスを担っていた社員が突然退職。社内サーバーの管理者パスワードがわからず、基幹システムにアクセスできない状態が2週間続きました。その間の売上損失は数百万円。復旧のために外部業者に依頼した費用も含めると、被害はさらに膨れ上がりました。

これは極端な例ではありません。規模の違いはあれ、同じ構造の問題はどの会社にも潜んでいます。

正社員でも、完全外注でもない「第三の選択肢」がある

ここまで読んで、「じゃあどうすればいいのか」と思われたかもしれません。

正社員の情シスを雇う余裕はない。かといって、今のひとり情シス体制を放置するのは危険。スポットで業者を呼ぶのも、毎回説明が必要で非効率——。

実は、「週1回だけ来てくれるIT担当」を確保するという選択肢があります。

フルタイムの正社員ではなく、完全な外注でもない。自社の事情を理解した上で、定期的にITの面倒を見てくれる存在。これが、多くの中小企業にとって最も現実的で、コストパフォーマンスの高い解決策です。

本記事では、この「週1回のIT担当」を確保するための具体的な4つの方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

解決策の全体像解決策の全体像

「週1回のIT担当」を確保する4つの方法

方法1:フリーランスのIT人材と業務委託契約を結ぶ

最もシンプルな方法は、フリーランスのITエンジニアやIT管理者と業務委託契約を結ぶことです。

クラウドソーシングサイトやフリーランスマッチングサービスを使えば、「週1回・半日」「月4回訪問」といった柔軟な条件で人材を探せます。

メリット:

  • コストを抑えやすい(月額5万〜15万円程度が相場)
  • 契約条件を柔軟に設定できる
  • ITスキルの高い人材を確保しやすい

デメリット:

  • 人材の質にばらつきがある
  • フリーランス側の都合で契約が途切れるリスク
  • 自社の業務理解に時間がかかる場合がある
  • 属人化の根本解決にはならない(担当者が1人であることに変わりない)

向いている会社: IT業務の範囲が明確で、タスクベースで依頼できる会社

方法2:IT系の人材派遣サービスを利用する

派遣会社を通じて、週1〜2日勤務のIT人材を派遣してもらう方法です。

メリット:

  • 派遣会社が人材の質を一定担保してくれる
  • 担当者が合わなければ交代を依頼できる
  • 労務管理の負担が少ない

デメリット:

  • 派遣会社へのマージンがかかるため、フリーランスより割高になりがち
  • 週1回のみの派遣に対応していない会社も多い
  • 派遣社員の入れ替わりが発生すると、引き継ぎコストがかかる

向いている会社: 採用リスクを減らしたい、人材選定を自社で行う余裕がない会社

方法3:ITアウトソーシング(情シス代行)サービスを契約する

近年増えているのが、情シス業務をまるごと代行する専門サービスです。「情シス代行」「IT部門アウトソーシング」などの名称で提供されています。

メリット:

  • チーム体制で対応するため、属人化リスクが低い
  • ヘルプデスク、資産管理、セキュリティ対策など幅広くカバー
  • ドキュメント整備も含まれることが多く、ブラックボックス化を防げる
  • 担当者の退職・離脱があってもサービスが途切れない

デメリット:

  • 月額費用が比較的高い(月額10万〜30万円程度)
  • サービス内容が画一的で、自社の事情に合わない場合がある
  • 現場に常駐するわけではないため、緊急対応に限界がある

向いている会社: IT管理を仕組み化したい、属人化を根本から解消したい会社

方法4:月額制のDX支援・IT顧問サービスを活用する

IT管理だけでなく、業務改善やDX推進まで視野に入れたい場合は、月額制のIT顧問・DX支援サービスという選択肢もあります。

単なる「トラブル対応係」ではなく、自社のIT戦略を一緒に考えてくれるパートナーとしてのポジションです。

メリット:

  • ITトラブル対応に加え、業務効率化・DX推進の提案も受けられる
  • 経営視点でのIT投資判断をサポートしてもらえる
  • 中長期的なIT計画を一緒に策定できる
  • チーム体制のサービスなら属人化リスクも低い

デメリット:

  • 費用はサービスによって幅がある
  • 「何を相談していいかわからない」段階だと活用しきれないことも

向いている会社: IT管理だけでなく、業務のデジタル化や効率化にも課題を感じている会社

なお、私たちアイカが提供している月額制の「自社DX推進部」も、この方法4に該当するサービスです。IT管理から業務改善まで、月額定額で「自社のIT部門」のように伴走する形態をとっています。

4つの方法の比較4つの方法の比較

「週1回のIT担当」を成功させるための3つのポイント

どの方法を選ぶにしても、ただ人を確保するだけでは意味がありません。せっかくのIT担当を最大限活用するために、押さえておくべきポイントがあります。

ポイント1:最初に「IT資産の棚卸し」をする

外部のIT担当に来てもらう前に、まず自社のIT環境を整理しましょう。

  • 使っているパソコン・ソフトウェアの一覧
  • 各種サービスのアカウント情報(管理者は誰か)
  • ネットワーク構成(ルーター、Wi-Fi、VPNなど)
  • 現在困っていること・過去に起きたトラブル

完璧でなくても構いません。「わからないこと」を明確にするだけでも大きな一歩です。この棚卸し自体を、最初のタスクとしてIT担当に依頼するのも有効です。

ポイント2:「ドキュメント化」を契約条件に含める

週1回のIT担当を確保する最大の目的は、属人化の解消です。そのためには、対応した内容を必ずドキュメント化してもらうことが不可欠です。

  • 設定変更の記録
  • トラブル対応の手順書
  • パスワード・アカウント情報の管理台帳
  • 定期的に行うべきメンテナンスのチェックリスト

ドキュメントが残っていれば、仮に担当者が交代しても引き継ぎがスムーズに進みます。「やってもらった」ではなく「残してもらった」が重要です。

ポイント3:「週1回」の時間を最大化する仕組みをつくる

週1回の訪問時間は限られています。この時間を最大限活用するために、事前に依頼事項をまとめておく仕組みを作りましょう。

  • 共有ドキュメントやチャットで「IT相談リスト」を常時更新する
  • 緊急度に応じて優先順位をつけておく
  • 定例の確認事項(セキュリティアップデート、バックアップ確認など)はルーティン化する

「来てもらったけど、何を頼めばいいかわからない」——この状態が一番もったいないです。日常的に困りごとを記録する習慣が、週1回のIT担当の価値を何倍にも高めます。

こんな会社は、今すぐ「週1回のIT担当」を検討すべき

  • 専任のIT担当がいない(総務や経理が兼任している)
  • 「ひとり情シス」状態で、その人に負担が集中している
  • IT担当者の退職・異動が決まっている、またはその兆候がある
  • 「あの人しかわからない」業務が3つ以上ある
  • セキュリティ対策が何年も見直されていない
  • ITトラブルのたびに業者を呼んでいるが、毎回ゼロから説明が必要

上記に2つ以上当てはまる会社は、すでにリスクが顕在化しつつあります。

「まだ大丈夫」と思っている今が、実は最も低コストで対策できるタイミングです。ひとり情シスの退職後に慌てて対応する場合、通常の数倍のコストと時間がかかります。問題が起きる前に動けるかどうかが、会社のIT環境の明暗を分けます。

まとめ:「週1回」でも、ITの安心は手に入る

まとめまとめ

専任のIT担当者を雇えないからといって、IT管理を放置していい理由にはなりません。

本記事で紹介した4つの方法を振り返ります。

方法コスト目安(月額)属人化解消向いている会社
フリーランス5万〜15万円タスクが明確な会社
人材派遣10万〜20万円採用リスクを減らしたい会社
情シス代行10万〜30万円IT管理を仕組み化したい会社
DX支援・IT顧問サービスによる業務改善まで視野に入れたい会社

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完璧なIT体制を一気に構築する必要はありません。 まずは「週1回、ITのことを相談できる相手がいる」状態をつくること。それだけで、ひとり情シスの属人化リスクは大幅に軽減されます。

最初の一歩として、自社のIT環境の棚卸しから始めてみてください。「何がわからないか」がわかるだけでも、状況は確実に前に進みます。

もし「何から手をつければいいかわからない」という段階であれば、外部の専門家に相談するのが最も確実です。IT環境の現状把握から今後の方針策定まで、一緒に考えてくれるパートナーを見つけることが、情シス不在の会社にとっての最善策です。

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