ひとり情シスが「やらなくていい仕事」を切り分けるチェックリスト20項目
全部やろうとして、全部が中途半端になっていませんか?
「PC のセットアップをお願い」「Wi-Fi が繋がらないんだけど」「このExcelマクロ直して」「セキュリティ対策どうなってる?」——。
ひとり情シスの1日は、こんな依頼の嵐で始まります。
ネットワーク管理、ヘルプデスク、セキュリティ対策、ベンダー折衝、社内システムの開発・保守……。本来なら5人で分担するような仕事を、たった1人で抱えている。「やらなきゃいけないこと」が多すぎて、「本当にやるべきこと」が見えなくなっているのが、ひとり情シスの最大の問題です。
そして、この状態が続くと何が起きるか。属人化です。
あなたの頭の中にしかないナレッジ、あなたしか触れないシステム、あなたが辞めたら誰もわからない設定——。会社にとっての退職リスクは、日に日に膨らんでいきます。
「全部自分でやるしかない」は思い込みかもしれない
ひとり情シスの方に「業務を手放しませんか?」と提案すると、多くの場合こう返ってきます。
「自分がやらないと回らないんです」
その気持ちは痛いほどわかります。実際、周囲にITがわかる人がいない環境で、すべてを背負ってきたのはあなたです。責任感が強いからこそ、手放すことに不安を感じる。
しかし、冷静に業務を棚卸ししてみると、「情シスがやる必要のない仕事」が全体の3〜4割を占めているケースは珍しくありません。
- 他部署の社員でもできる作業を、「IT っぽいから」と引き受けている
- 本来はベンダーのサポート範囲なのに、自分で調べて対応している
- 手作業で繰り返している定型業務を、自動化できることに気づいていない
- 過去の経緯で引き継いだだけの、もはや不要な業務を続けている
「自分がやるしかない」と「自分がやるべき」は、まったく別の話です。
この記事で「手放すべき仕事」が明確になります
本記事では、ひとり情シスの業務を**「やるべき仕事」と「やらなくていい仕事」に切り分ける20項目のチェックリスト**を提供します。
このチェックリストを使えば、以下のことが実現できます。
- 属人化の解消:自分にしかできない仕事を構造的に減らせる
- 退職リスクの低減:引き継ぎ可能な状態を日常的に作れる
- 本来の情シス業務への集中:戦略的なIT投資やセキュリティ強化に時間を使える
やらなくていい仕事を切り分ける解決策
ひとり情シスの「やらなくていい仕事」チェックリスト20項目
以下の20項目に当てはまる業務は、今のあなたがやる必要のない仕事です。「やっている」「やっていない」ではなく、**「これは本当に自分がやるべきか?」**という視点で確認してください。
カテゴリ1:他の人に任せられる仕事
✅ 1. PCの初期セットアップを毎回手作業でやっている
手順書を作成すれば、総務や各部署のリーダーでも対応できます。キッティング手順をマニュアル化し、情シスは「手順書の更新」だけを担当しましょう。
✅ 2. プリンターの紙詰まり・トナー交換に対応している
これはIT業務ではありません。各フロアの担当者を決めて対応マニュアルを共有すれば、情シスが呼ばれる必要はなくなります。
✅ 3. Officeソフトの使い方を個別にレクチャーしている
「Excelの関数がわからない」「Wordのレイアウトが崩れた」——こうした問い合わせは、社内FAQ や動画マニュアルで対応できます。問い合わせの多いものからFAQ化していきましょう。
✅ 4. 会議室のディスプレイ接続トラブルに毎回駆けつけている
接続手順をディスプレイ横に掲示し、各部署に「会議室IT担当」を1人設けるだけで、呼び出しは激減します。
✅ 5. パスワードリセットを手動で対応している
セルフサービスパスワードリセット(SSPR)を導入すれば、この作業はゼロにできます。Microsoft 365 や Google Workspace には標準機能として備わっています。
カテゴリ2:ベンダーやサービスに任せるべき仕事
✅ 6. 複合機の障害対応を自分で調査・修理している
複合機の保守はリース会社やメーカーの仕事です。「まず自分で見てみよう」をやめて、障害が起きたら即ベンダーに連絡するフローに変えましょう。
✅ 7. ネットワーク機器のファームウェア更新を手動で行っている
保守契約にファームウェア更新が含まれていないか確認してください。含まれていなくても、自動更新機能を持つ機器への買い替えを検討する価値があります。
✅ 8. クラウドサービスの障害時に自力で原因調査している
SaaS の障害はベンダー側の問題です。ステータスページを確認して「現在障害が発生しています」と社内周知すれば、あなたの仕事は終わりです。
✅ 9. 業務アプリのカスタマイズ要望に毎回応えている
「この画面にボタンを追加して」「このレポートの項目を変えて」——こうしたカスタマイズは、ベンダーのサポートや有償カスタマイズとして依頼すべきです。情シスが直接コードを触ると、属人化の温床になります。
✅ 10. サーバーの物理的な監視(ランプ確認・異音チェック)を行っている
オンプレミスサーバーの監視は、監視ツールやクラウド移行で解決できます。「目視確認」は情シスの仕事ではありません。
カテゴリ3:自動化・仕組み化で不要にできる仕事
✅ 11. 社員の入退社時のアカウント作成・削除を手作業でやっている
人事システムと連携した自動プロビジョニングを導入すれば、手作業は不要になります。少なくとも、チェックリスト化して総務と分担しましょう。
✅ 12. 定期的なバックアップを手動で実行している
自動バックアップを設定していないなら、最優先で対応すべきです。手動バックアップは「忘れる」リスクがある時点で、バックアップとして不完全です。
✅ 13. ソフトウェアライセンスの期限を手帳やExcelで管理している
IT資産管理ツールを導入すれば、更新時期のアラートを自動で受け取れます。手動管理は見落としの原因になるだけです。
✅ 14. 毎月同じ内容のレポートを手作業で作成している
BI ツールやスクリプトで自動化できるレポートに、毎月何時間もかけていませんか?一度仕組みを作れば、あとは確認するだけです。
✅ 15. Windows Update の適用状況を1台ずつ確認している
WSUS や Intune などの管理ツールを使えば、一括管理・一括確認が可能です。1台ずつ見て回る時代は終わりました。
業務整理のステップ
カテゴリ4:そもそもやめていい仕事
✅ 16. 使われていない社内システムの保守を続けている
「いつか使うかもしれない」で残しているシステムはありませんか?利用者がいないなら、停止してドキュメントだけ残しましょう。保守工数がゼロになります。
✅ 17. 全社員分のIT資産を定期的に目視棚卸ししている
IT資産管理ツールを導入し、自動インベントリ収集に切り替えましょう。年に1回の棚卸しで十分であり、それすらもツールがあれば半自動化できます。
✅ 18. 「念のため」で続けている二重・三重の確認作業
セキュリティチェックのつもりで行っている多重確認が、実は同じことを違う方法で確認しているだけ、ということはよくあります。チェックの目的と効果を見直しましょう。
✅ 19. 過去のやり方を踏襲しているだけの運用手順
「前任者がこうしていたから」という理由だけで続けている作業はありませんか?環境が変わっているなら、その手順自体が不要かもしれません。
✅ 20. すべてのIT関連の問い合わせに即時対応している
情シスは消防署ではありません。問い合わせの受付ルール(チケット制、対応時間の設定など)を整備し、「すぐやらなくていい問い合わせ」を仕組みで制御することが大切です。
こんな方は今すぐ業務の棚卸しを
上記のチェックリストで5項目以上に該当した方は、業務の見直しが急務です。
- ひとり情シスとして3年以上同じ業務を続けている方:業務が固定化し、属人化が深刻化している可能性が高い
- 「自分が休んだら会社が止まる」と感じている方:それは責任感ではなく、組織のリスクです
- 退職や異動を考えているが、引き継ぎが不安な方:引き継ぎの難しさは、属人化の深さに比例します
- 本来やりたいIT戦略の仕事に手が回らない方:日々の「作業」に追われて「仕事」ができていない状態です
「いつかやろう」では、いつまでも変わりません。
属人化は時間が経つほど深刻になり、退職リスクは突然現実になります。チェックリストで「やらなくていい」と判断した業務から、1つずつ手放していきましょう。
なお、「業務の切り分けはできたが、自動化や仕組み化を進めるリソースがない」という場合は、外部のDX支援サービスを活用するのも有効な手段です。たとえば月額制の自社DX推進部のようなサービスを利用すれば、情シスの負担を増やさずに仕組み化を進めることができます。
まとめ
まとめ
ひとり情シスが抱える業務過多と属人化の問題は、「やらなくていい仕事」を見極めることから解決が始まります。
本記事のチェックリスト20項目を振り返ります。
- 他の人に任せられる仕事(項目1〜5):マニュアル化と権限委譲で手放す
- ベンダーに任せるべき仕事(項目6〜10):保守契約とサポートを活用する
- 自動化で不要にできる仕事(項目11〜15):ツール導入で手作業をなくす
- そもそもやめていい仕事(項目16〜20):惰性で続けている業務を廃止する
まずは今日、自分の業務を20項目に照らし合わせてみてください。「やらなくていい」と判断した仕事を1つ手放すだけで、あなたの働き方は確実に変わります。
業務の棚卸しや仕組み化について相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。